【日下部保雄の悠悠閑閑】最小ミニバンに乗った

AI要約

ホンダ・フリードがフルモデルチェンジされ、エアーとクロスターの2つの構成に分かれている。新しいデザインやパワートレイン、特に福祉車両「スロープ」の追加など、さまざまな改良が施されている。

新型フリードはコンパクトなボディに3列のシートを備え、乗車人数と快適性を両立している。特にスペースの確保や乗り心地の向上に注力している。

福祉車両「スロープ」は車いすユーザーにとって利便性が高く、さらにキャリーカートの積み込みも容易にできる。高齢化社会において需要が増える可能性がある。

【日下部保雄の悠悠閑閑】最小ミニバンに乗った

 ホンダ・フリードがフルモデルチェンジされた。構成はシンプルにエアーとクロスター。それぞれにガソリン車とHEV、それにFFと4WDがあり、さらにクロスターのFFにはスロープというクルマ椅子収納車が設定されている。

 エアーはシンプルに、クロスターはアウトドアを意識してルーフレールを装備したデザインで差別化を図っている。

 フリードはこれまでのプラットフォームをキャリーオーバーしているが、サスペンションの組み付けでは車体を接地状態にして行なうなどN-BOXから使われた生産技術を取り入れている。N-BOXで「ホンダの生産ラインはこうなります」と言っていたのを思い出した。

 もちろんそれだけでなくマウントなどを見直しているが、コンパクトらしい軽快感とドッシリした安定感を併せ持ったのが従来のフリードとの違いで、電動ステアリングの出力も上がりスワリが向上した。

 エンジンは1.5リッターで最高出力87kWの元気のよいガソリンと、78kW+90kWのハイブリッドが設定され、特にフリード初搭載となる2モーターハイブリッドのe:HEVでは加速時の力強さと疑似的にステップを踏む変速は手が込んでいる。CVTも変速感を付けており、前モデルのエンジンが先に走ってしまうラバーバンドフィールは大幅に小さくなった。

 4310mmの全長に1695mmの全幅(クロスターはオーバーフェンダーで1720mm)、全高は1755mm(4WDは1780mm)とコンパクトサイズの中に3列のシートを備えている。軽自動車のハイトワゴン系でもできないのが多人数乗車で、しかも3列ともレッグスペースがきちんととれた状態で座れる。実際、3列目シートのクッションも想像以上に厚く、セカンドシート下に爪先も入るのでレッグルームも確保される。セカンドシートのパッセンジャーとの兼ね合いだが、6人での移動も窮屈ではなさそうだ。

 残念ながら実際には走行時の3列目インプレは取れなかったので今度乗ってみよう。コンパクトで工夫を凝らしたミニバンは何か惹かれるものがある。少なくとも運転しての感想は加減速でのピッチングが小さく、段差乗り越しも衝撃感は小さかった。

 コンパクトミニバンとしての商品力が増したフリードだが、福祉車両「スロープ」も注目だ。ガソリンとe:HEVが用意されており、価格も約16.5万円増に抑えられている。開発過程から専用部品を極力減らすことで低価格が可能となり、さらにガソリン5人乗り仕様にはないリアクーラーも装備されるのがありがたい。さらに実際の使用条件によっては消費税免税など、補助金の恩恵も受けられる。

 アルミ製のスロープは簡単に引き出せ、車いすの乗降に便利だが、意外と傾斜があるスロープ角度は電動ウインチがないと押し上げるのが大変だ。車いすにフックをかけて引っ張ってもらうが、車いす目線では結構空を見上げるような感覚になる。乗車したところで車いすをフックで固定し、3点ベルトで簡単に装着できる。2列目シートは狭くなるが車いすをいれて6人分のシートが確保される。

 実は便利なのは車いすだけではない。アウトドアで便利なキャリーカートも荷物を搭載したまま積み込みできるのもありがたい。高齢化社会に入ってこれから需要は増えそうだ。何より自分がお世話になるかもしれないのでちょっと気になりました。