テレビ販売、五輪需要は以前より減少 電機各社はAI搭載などの高機能品に活路

AI要約

電機各社がパリ五輪を前に新製品を投入しており、AI搭載の高機能テレビが注目されている。

シャープは17機種の新モデルを投入し、AIが画質や音声を調節する機能を搭載した商品が好調。

パナソニックとソニーも新機能を搭載した新製品を投入し、テレビ市場に活況が見られる。

テレビ販売、五輪需要は以前より減少 電機各社はAI搭載などの高機能品に活路

パリ五輪開幕を控え、電機各社がテレビの新製品を相次いで投入している。五輪観戦を目的としたテレビ需要は以前より減っているが、今夏のボーナス商戦ではAI(人工知能)を搭載した高機能品などの販売が好調で、各社は五輪をきっかけに新たな魅力をアピールしようとしている。

シャープは今夏に新モデルを一気に17機種投入する。重点製品にはAIが画質や音声を自動調節する機能を搭載した。

国内TV事業部の高橋秀行事業部長は「スポーツ中継を視聴する際は歓声や競技音が迫力と臨場感を高める一方、解説の声を聞き取りやすいよう調節してくれる」と話す。重点商品は発売開始当初の販売台数が前のモデルの約2・3倍と好調で、五輪商戦で販売増を狙っている。

パナソニックが6月に投入した4K有機ELテレビの新モデルは米アマゾン・ドット・コムのネット動画配信機器「ファイアTV」を内蔵。テレビ放送と動画を同じ画面上で楽しめる。

パリ五輪はネットの民放公式配信サービス「TVer」がほぼ全競技をライブ配信する。ファイアTVでも視聴でき、テレビの大きな画面で観戦したいというニーズを取り込みたい考えだ。

ソニーは4K液晶テレビの販売に力を入れる。独自のデータ処理装置を搭載し、動きの速い映像を滑らかに鮮明に映し出し、画面の上部と下部にある4つのスピーカーで臨場感ある音響を味わえるという。

家電量販大手のヨドバシカメラによると、今夏は昨年の同時期と比べ、テレビの売り上げは二ケタ増。マルチメディアAkibaTVチームの飯田勇一マネージャは「五輪の影響はそこまで大きくない。大画面や高機能など魅力的な新製品が多く、買い替えが増えている」と語る。

電子情報技術産業協会によると、令和5年の国内のテレビ出荷台数は新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要の一巡などもあり、437万台にとどまった。東京五輪が開催された3年の出荷台数は538万台。過去10年は年間400万台から500万台で推移しており、各社は多機能の高価格品を伸ばし、成長の活路を見いだそうとしている。(黄金崎元)