自動車を使うのはもう時代遅れ? スウェーデン生まれの革新物流拠点「モビリティ・ホテル」をご存じか

AI要約

映画『ラストマイル』では、物流拠点で爆破テロとの戦いが描かれる。国土交通省によると、災害時に物流が寸断されると国民生活に広範な影響が及ぶ可能性がある。

ラストワンマイル輸送の混乱は東日本大震災や熊本地震などで顕在化。物流の課題は平時でも存在し、ラストワンマイルのモビリティ整備が重要だ。

スウェーデンのヨーテボリにはモビリティ・ホテルがオープン。マイクロモビリティやマイクロ物流サービスを提供し、都心部で人や物の輸送を支援している。

自動車を使うのはもう時代遅れ? スウェーデン生まれの革新物流拠点「モビリティ・ホテル」をご存じか

 映画『ラストマイル』では、物流拠点を舞台にして爆破テロとの戦いが繰り広げられる。テロは不測の事態だが、災害が物流を混乱に陥れることは予測されている。

 国土交通省は「今後想定される首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の広域かつ大規模な地震が発生し、物流システムが寸断された場合、国民生活へ甚大かつ広域的な影響が生じることが想定される」としている。

 実際に東日本大震災、熊本地震、集中豪雨などで広域物資輸送拠点から避難所までのラストワンマイル輸送が混乱し、支援物資が届かないという課題が顕在化した。

 平時においても、物流のラストワンマイルは大きな課題となっている。ひとりの顧客に少額の商品を届けるために車を走らせると費用対効果が著しく低下するからだ。公共交通は手頃だが、タクシーの運賃は高いと感じている人は多いだろう。それと同じ理由だ。

 手元に届く商品のコストを抑えるためにも、有事のライフラインを維持するためにも、ラストワンマイルのモビリティを整備することは、極めて重要なのである。

 スウェーデンの第2の都市・ヨーテボリは天然の良港として古くから海運と貿易が栄え、今日ではスカンジナビア最大の港湾施設がある。この都市に2024年6月、スウェーデン初となる「モビリティ・ホテル」がオープンした。

 モビリティ・ホテルは、スウェーデン最大規模のショッピングセンターで、ビジネスの拠点になっているノルドスタンに立地しており、毎日約6000人が働き、7万人が行きかう。

 物流ゼロエミッションのための欧州連合(EU)プロジェクト「MOVE21」を通じて共同出資を受けて、ヨーテボリ市都市環境局、ビジネス地域ヨーテボリ、ノルドスタン・ビジネス・センターが共同で開発した。

・マイクロモビリティ

・マイクロ物流サービス

を組み合わせて、都心部において人や物の輸送をつかさどる。「ハブ」といってもいいかもしれないが、きめの細かいシームレスなサービスを提供しており、“ホテル”と表現しているのである。