長距離ツーリングを楽しめる「新作アドベンチャーバイク」の印象とは? トライアンフの最新モデルは“力強い3気筒エンジン”が魅力的

AI要約

タイガー900 GT Proは、トライアンフのアドベンチャーバイクで、3気筒エンジンを搭載した快適な乗り心地を提供。

不等間爆発の特性を持つエンジンは、トラクション性能を向上させ、舗装路でも安定した走行を実現。

快適なツーリングに適した装備が充実しており、ツーリングバイクとしての完成度が高い。

長距離ツーリングを楽しめる「新作アドベンチャーバイク」の印象とは? トライアンフの最新モデルは“力強い3気筒エンジン”が魅力的

 大陸横断のような長距離ツーリングをもこなせるアドベンチャーバイクは、世界的にも人気の高いカテゴリーとなっています。

 アドベンチャーバイクというと2気筒エンジンを搭載したモデルが多いのですが、英国最大のバイクブランドであるトライアンフの「タイガー」シリーズは、ユニークな3気筒エンジンを搭載しているのが特徴です。

「タイガー」シリーズは660cc、850cc、900cc、1200ccと幅広い排気量のモデルが用意されていますが、そのすべてが3気筒エンジンとなっています。

 900ccと1200ccが主力ですが、オフロード志向の「ラリー」と舗装路をメインターゲットとした「GT」の2モデルに大別できます。

 今回試乗した「タイガー900 GT Pro」は、「GT」モデルの上位グレード。2024年にモデルチェンジし、最高出力が95psから108psにアップしています。同じく最大トルク値も3Nm向上しているほか、燃費性能が向上しているのもポイントです。

「GT」はフロント19インチ、リア17インチのキャストホイールを採用。フロント21インチ、リア17インチのスポークホイールを履き、未舗装路の走行性能を重視した「ラリー」との違いとなっています。

 近年のアドベンチャーバイクは、オフロードでの走破性を重視したモデルと、キャストホイールを履いて舗装路での走行性能を重視したモデルとに分化が進んでいますが、トライアンフでは同じ「タイガー」シリーズで双方に対応。ちなみに今回試乗した「タイガー900 GT Pro」は後者に属しています。

●独特のフィーリングを持つ“不等間爆発”仕様のエンジン

 トライアンフは、MotoGPのMoto2クラスへもエンジンを供給するなど、3気筒エンジンに注力しています。ロードモデルにも多くの3気筒マシンをラインナップしていますが、「タイガー」シリーズに採用されるエンジンは、不等間爆発とされたひと味異なる個性を備えています。

 気筒ごとの爆発間隔が不等間となることのメリットは、未舗装路などでのトラクション性能が向上すること。爆発間隔が一定の場合、一度タイヤがすべり出すとそのままスライドが止まらなくなってしまうケースがありますが、不等間隔とすることで爆発の間が長くなる部分が生じ、グリップが回復するという特性をねらっています。

 このメリットは、舗装路を走っていても感じられました。やや不ぞろいな感じのするエンジンの爆発が確実に地面を蹴ってくれる感覚が伝わってくるので、コーナリング中も安心感があり、アクセルを開けるのが楽しくなります。

 トライアンフの3気筒エンジンを搭載するモデルにはこれまで何車種か乗ったことがありますが、その中でも独特のフィーリングです。出力的にも余裕が増しているので、ツーリングでの快適度も高そうです。

 フロントに19インチという細めのタイヤを履いていることもあり、倒し込みの操作は軽快で、感覚的にはミドルクラスのバイクのような軽さで操ることができます。

 ブレンボ製ブレーキはフィーリング良好で、バンク角に応じて介入するABSやトラクションコントロールなど電子制御も充実しているので、舗装が荒れていたり砂が浮いていたりするような路面でも安心して走ることができました。

 走行モードは5種類からセレクト可能。また、サスペンションのプリロードなどもディスプレイを見ながら手元で調整することができます。

 今回試乗したPro仕様は、グリップヒーターやアップ/ダウン対応のクイックシフターも装備されていて、ツーリングの快適度をさらに向上させています。

 ツーリングバイクとしての完成度が高く、舗装路を楽しめるアドベンチャーバイクを探しているライダーには好適な1台といえるでしょう。

●製品仕様

・価格(消費税込):192万5000円

・全幅:930mm

・全高:1410~1460mm(調整式)

・シート高:820~840mm(調整式)

・エンジン:水冷並列3気筒DOHC4バルブ

・総排気量:888cc

・最高出力:108ps/9500rpm

・最大トルク:90Nm/6850rpm