カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」「Z2E」はカムチェーン周りのコンディションに注意!

AI要約

カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」と「Z2E」ユニットは、頑丈なエンジンとして認識されています。

しかし、頑丈さを過信することで取り返しのつかないトラブルに発展する可能性もある。

特にカムチェーン周辺の部品に注意が必要で、適切なメンテナンスが重要だ。

カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」「Z2E」はカムチェーン周りのコンディションに注意!

 カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」と「Z2E」ユニットは、とにかく頑丈なエンジンとして認識されています。それは2代目空冷4気筒エンジンのザッパー系(ゼファー750シリーズへと継承されました)や3台目のミドル系=Z400FX系のエンジンと比べても、明らかに頑丈設計との声が大きいです。

 しかし、その頑丈さを過信してしまうことで、今度は「取り返しのつかないトラブル」に発展してしまう可能性があることも、知っておかなくてはいけません。初代モデルの登場から50年以上が経過しているので、今現在、どんなに調子良く走っている初代シリーズエンジンでも、過去にエンジン腰上のオーバーホール実績が無い個体の場合は、要注意と言うこともできます。特に、注意しなくてはいけないのが「カムチェーン周辺」を構成する、各種部品のコンディションになります。

 特に多いのが、アイドルギヤ系の「ゴムダンパー抜け」、長年の利用でゴムダンパーが劣化して、アイドルギヤの軸芯がズッコケてしまうことが多いようです。

 過去にはこんなこともありました。コンディションが良く気持ち良く走っていたエンジン腰上を分解したときのお話しです。分解理由は「排気量アップ=ボアアップ」実践でした。ベテランメカニックの手によりエンジン腰上を分解すると、カムチェーンテンショナーのアイドルギヤが、軸芯から横にズレていることに気が付きました(チェーンラインがズレて重大なトラブルに繋がります)。分解するついでに、カムチェーン周りの部品は、すべて新品部品を準備していたので作業はスムーズに進行しました。

 ボアアップ後もエンジンは絶好調で、これまで以上にパワフルなエンジンへと変化しました。オーナーさんによれば、これまで以上の加速力を楽しめて大満足だそう。作業を担当したベテランメカニックからお話しを伺うと、初代4気筒シリーズのエンジンは、このカムチェーン周りに鬼門があるそうです。

 今回は、ボアアップ作業の分解ついでに、あらかじめカムチェーンテンショナーを始め、周辺の関連部品をすべて用意していたので問題は無かったそうです。ボアアップに気を取られてしまい、カムチェーン関連部品に目が行かなかった結果、作業完了直後は気持ち良く走ってくれていたものの、早々にメカニカルノイズが出てしまい……。結果的には、もう一度、エンジン分解しなくてはいけない事態もあるそうです。