今年の訪日客消費見通し、8兆円規模 円安影響で前年の5・3兆円大幅に上回る

AI要約

政府は19日に観光立国推進閣僚会議を開き、今年の訪日外国人客の消費額が8兆円に達する見通しを示しました。

訪日客数と消費額が前年を大幅に上回る中、空港での航空燃料不足への対策や地方への誘客促進、オーバーツーリズム対策などが進められています。

岸田首相は2030年に訪日客数6000万人、旅行消費額15兆円という目標も視野に入れていると述べました。

今年の訪日客消費見通し、8兆円規模 円安影響で前年の5・3兆円大幅に上回る

政府は19日、観光立国推進閣僚会議を開き、今年の訪日外国人客(インバウンド)の消費額が8兆円規模にのぼるとの見通しを示した。円安が影響しており、前年の5・3兆円を大幅に上回る。各地の空港で表面化する航空燃料不足への対応策が公表されたほか、都市部から地方への誘客促進や、オーバーツーリズム(観光公害)対策を進める方針が確認された。

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、今年6月の訪日客数は約314万人で4カ月連続で300万人を超え、単月として過去最多を記録した。1~6月の累計は約1778万人で上半期としても最多。コロナ禍前の令和元年を上回り、年間3500万人に達する見込み。訪日客の消費額も4~6月では約2兆1千億円で、四半期別の最高額を更新。年間8兆円規模となる見通しが示された。

岸田文雄首相は同日の会合で「2030(令和12)年の訪日客数6000万人、旅行消費額15兆円の目標水準も視野に入る」と述べた。

訪日客の拡大に伴い、地方空港で燃料供給を受けられず、海外の旅行会社が新規就航や増便を断念する事例が相次いでいる。会議では燃料の需要情報を空港と石油元売り会社が共有することや燃料を運ぶ車や船の確保、製油所から空港への直接搬入のルートを直送を増やすなどの対応策が打ち出された。これにより、アジア便で週150便超に相当する燃料を確保する。

また、訪日客の旅行先が都市部など一部に集中し、地方に分散していない問題も指摘された。特に1人で100万円以上を消費する層の誘客強化のため、北陸や瀬戸内など国内11の「モデル観光地」では旅行会社などの助言を受け、観光地としての魅力を高められるようにする。

観光客のマナー違反や混雑が地元に悪影響を与えるオーバーツーリズムに対しては、マナーの啓発などに取り組む地域を「先駆モデル」として、すでに20地域選定しており、新たに銀山温泉(山形)など6地域を追加した。

祓川直也観光庁長官は同日の定例会見で、観光業界について「課題はあるが、コロナ禍前に比べ、明るく頑張ろうという雰囲気になっている」と述べた。