40年間専業主婦でしたが、定年退職する夫に「パートで働いて」と言われました。このタイミングで働いたほうが得なのでしょうか?

AI要約

定年退職後の主な収入源は年金であり、年金額が不十分な場合には配偶者がパート勤務を検討する必要がある。

厚生労働省が国民年金保険料の納付期間延長を検討中であり、これが実施されれば支払いが必要なためパート勤務が求められる可能性がある。

老後の生活資金を確保するため、専業主婦(主夫)が働くことにより財政面を安定させることが重要である。

40年間専業主婦でしたが、定年退職する夫に「パートで働いて」と言われました。このタイミングで働いたほうが得なのでしょうか?

夫婦によっては、夫や妻の定年退職後に専業主婦(主夫)の方がパート勤務をできないか頼まれるケースもあるでしょう。定年退職後の主な収入源は年金になるため、年金額が足りないと老後の生活で困るためです。

また、検証作業として提案された国民年金保険料の納付期間延長が実際に行われれば、年金を納付するために働かないといけなくなる可能性もあります。今回は、定年後に専業主婦(主夫)は働いた方がいいのか、年金額の確認方法などについてご紹介します。

厚生労働省が行った「第14回社会保障審議会年金部会 令和6年財政検証の基本的枠組み、オプション試算(案)について」では、検証作業の一つとして「国民年金保険料の納付期間を60歳までから65歳までに延長した場合」が提案されました。

もし、検証作業の内容が実現すると、夫が60歳で定年退職をすると残りの5年間は無職の状態で国民年金保険料を夫婦ともに自分で支払う必要があります。

そうなると、国民年金保険料の支払いのために貯金を切り崩さなければならないため、パートで働くよう配偶者がお願いする可能性もあるでしょう。日本年金機構によると、令和6年度の国民年金保険料額は月額1万6980円のようです。もし65歳まで支払いが延長した場合、追加で101万8800円が必要になります。

しかし、65歳まで国民年金の納付年数が延長するという案は、あくまで検証作業の一つとして提案されたにとどまり、実際に改正案として提案されたわけではありません。2019年にも同様の試算が提案されていましたが、改正案としての提案はされませんでした。

今後の状況によっては変動する可能性もありますが、現時点ではすぐに納付年数が延びるとはいえないでしょう。

国民年金の期間が延びなかったとしても、老後の生活資金をより多く確保するため働く選択肢もあります。

総務省統計局が行った「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯の、年金や手当といった社会保障給も含めた実収入は、平均で月額24万4580円でした。一方、平均支出額は非消費支出と消費支出を合計して月額28万2497円です。

平均収入と平均支出を比べると、3万7917円不足します。不足分は貯金から補う必要がありますが、配偶者がずっと専業主婦(主夫)だった場合、実質的に自分の貯金からすべて支払わなければなりません。勤務していたときの収入にもよりますが、人によっては2人分の生活費を貯金でまかなえないケースもあるでしょう。

貯金や年金を切り詰めながら生活する状態を避けるために、今まで専業主婦(主夫)だった配偶者にパート勤務をお願いする可能性はあります。パート勤務をして欲しいと言われたときは、まず理由を聞いてみましょう。