「本当のお金持ち」は"定期預金"に見向きもしない…お金が貯まらない人に共通する「夏のボーナス」の使い道

AI要約

お金を貯めるためには、「数字の錯覚」に注意することが重要だ。

夏のボーナスを貯蓄に回す時期に合わせて、定期預金の特別金利が増えているが注意が必要。

キャンペーン金利の背後には、銀行の売り込み戦略があることに注意が必要だ。

お金を貯めるにはどうすればいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「『少しでもお金を増やしたい』と考える人がハマりやすい落とし穴がたくさんある。お得感のある『数字の錯覚』に注意してほしい」という――。

■定期預金の「キャンペーン金利」に潜む罠

 多くの人が夏のボーナスを手にしただろう。定額減税の実施もあり、手元にまとまったお金が入るのはうれしいものだ。

 しかし、ボーナスの使い道についてのアンケートを見ると、たいていトップに来るのは「貯蓄」という回答。ボーナス=まとまったお金は、貯蓄にとって大事な原資だからだ。

 銀行もこの時期に合わせて、特別金利を打ち出してくる。特にマイナス金利解除となった今年は、これまで以上に強気な数字が並ぶ。

 おなじみのネット銀行では、ソニー銀行とSBI新生銀行がともに1年物円定期で0.35%、楽天銀行が1年物0.25%、auじぶん銀行に至っては1年物0.4%と、かなり攻めた数字だ。

貯蓄ではお金は増えないという声もあるだろうが、それでも安全・安心重視の人にとっては、心惹かれる金利に違いない(金利は税引き前。預け入れ金額の条件あり。SBI新生銀行は9月2日まで、ソニー銀行は8月31日まで、その他は7月31日までの期間)。 しかし、こうした高め金利定期には注意が必要だ。「少しでも増やしたい」気持ちが逆効果になってしまうこともあるからだ。

■なぜ1年物が多いのか

 定期とは、文字通り「期間が定まっている」もの。ボーナス時のキャンペーン定期預金は、期間1年が多い。

 1年たつと解約されて普通預金に払い出しされるか、通常金利の定期預金として継続されることになる。高めの金利を打ち出す銀行は、おかげで一定数の新規預金を獲得できるわけだ。

 また、こうしたキャンペーンを打つネット銀行やネット支店はアドレスの登録が必須なので、特別金利目当てに新規で口座を開いてもらえば、その後いくらでもセールスをかけられる。お目当ては儲けが大きい外貨建ての定期預金や投資信託で、これらを買ってもらいたいのが本音だ。

 たとえば外貨預金に0.3%どころではない金利をつけて、キャンペーン定期預金の期間が終わった客を呼び込む。うまく行けば手数料を稼ぐことができる。ちょっと高めの年利0.3%は、その呼び水というわけだ。