日本にとって大事なのは台湾かウクライナか…!「トランプ政権誕生」間近で試される岸田首相の胆力

AI要約

トランプ前大統領が再選される可能性が高まっており、ウクライナ支援や台湾有事に影響を及ぼす可能性がある。

トランプ氏と関係の深いオルバン首相が停戦を促す動きを見せており、バンス氏もウクライナ支援に反対の立場を取っている。

ウクライナ内部の軍事能力や人的資源の不足に加え、ロシアの優位性が課題となっており、戦争終結のためには米国のプランが必要である。

世界を震撼させた暗殺未遂事件を経て、ドナルド・トランプ前米大統領が11月の大統領選で勝利する可能性が高まってきた。となると、米国のウクライナ支援や台湾有事への対応はどうなるのか。副大統領候補に指名されたJ.D.バンス上院議員が鍵を握っている。

7月5日配信コラムで指摘したように、トランプ大統領は、かねてウクライナ支援に消極的だった。6月28日に開かれたジョー・バイデン大統領との討論会で、トランプ氏は「ウクライナは戦争に勝っていない」と断言した。

4月7日付のワシントン・ポストは、関係者の話を基に「ウクライナは占領されたクリミア半島と東部ドンバス地方の奪回をあきらめて、停戦すべきだ」というトランプ氏の戦争終結プランを報じている。トランプ氏は「私なら24時間以内に戦争を終わらせる」と公言していたが、この案が背景にあったのだ。

一方、トランプ氏と気脈を通じているハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、欧州連合(EU)の議長国に就任した直後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、中国の習近平総書記(国家主席)と立て続けに会談した。オルバン氏も一貫して停戦を唱えている。

興味深いのは、その後だ。

オルバン氏は7月11日、トランプ氏をフロリダの別荘に訪ねて、会談した。その後、Xに「私たちは平和を作り出す方法を話し合った。今日の良いニュース。彼はそれを解決する!」とポストした。オルバン氏は「トランプ大統領復活」に先立って、早くも停戦の露払いに動いているのだ。

バンス氏も一貫して、ウクライナ支援に反対してきた。4月12日付のニューヨーク・タイムズへの寄稿では、こう書いている。

〈根本的に、我々はウクライナが求めている武器弾薬を製造する能力が不足している。たとえば、ウクライナは昨年、400万発の155ミリ砲弾を要求していた。だが、米国が製造できるのは、10分の1以下の年間36万発だ。ジョー・バイデン政権は2025年末までに120万発の目標を立てたが、それでも要求の30%にすぎない〉

〈米国の欧州司令官は今週、ロシアがまもなくウクライナの10倍の大砲を備えると予想した。多くの見出しにはならなかったが、我々が全部の資金を投じても、ロシアの優位は少なくとも、ウクライナの5倍だ。ウクライナの勝利につながるとは、とても思えない〉

〈人的資源はもっと悪い。ロシアはウクライナの約4倍の人口がある。ウクライナは50万人の兵力が必要だが、すでに兵役年齢の数十万人が国外に脱出してしまった。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が掲げている「1991年の領土を奪回する」という目標は幻だ。米国とウクライナの指導部は、それを受け入れる必要がある〉

〈ホワイトハウスがプーチン大統領と交渉しないのは馬鹿げている。バイデン政権は戦争に勝つ現実的なプランを持っていない。米国がこの真実に早く向き合えば、我々は混乱に早く終止符を打って、平和を達成できるのだ〉