中国経済は2車線、ハイテク重視で強靱さ維持-模倣から脱せるか

AI要約

中国経済は内需の低迷と製造業の活況の2面性を持つ。内需が低迷する中、製造業は世界をリードする勢いを見せている。

中国のGDP成長率が予想を下回る中、工業生産は予想を上回る伸びを続けており、技術主導の成長が実を結んでいる。

中国はハイテクセクターの強化や輸出ブームにより経済成長を維持しているが、消費者信頼感の低さや保護主義的な反応などの課題も存在する。

中国経済は2車線、ハイテク重視で強靱さ維持-模倣から脱せるか

(ブルームバーグ): 中国経済は2車線だ。国内の苦境について先行きの思わしくない暗いニュースが流れる一方で、世界を圧倒する製造業の勢いに各国で懸念が高まっている。

15日に発表された4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%増と、5四半期ぶりの低成長となった。不動産不況が続く中、6月の小売売上高は前年同月比2%増と予想(3.4%増)を大きく下回った。

だが、6月の工業生産は同5.3%増と予想(5%増)を上回る伸びを記録。このことは、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が長年追求してきたテクノロジー主導の「質の高い成長」が、実際に成果を上げ始めていることを示唆している。

中国の4~6月GDP、予想下回る4.7%増-5四半期ぶり低成長

日本や米国が住宅市場の低迷で深刻な経済的打撃を受けたのに対し、中国はハイテクセクターを強化し、それに伴う輸出ブームによって、1-6月の成長率は5%と、政府の年間目標である5%前後に沿った水準となった。

中国共産党の第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が15日、北京で開幕したが、習指導部はこの流れを維持する決意を固めている。3中総会は基本的に5年に一度開催され、長期的な経済計画を策定する共産党の重要会議だ。

大きな問題もある。低調な小売売上高が示すように消費者の経済に対する信頼感は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の水準に全く戻っていない。

中国経済が強靱(きょうじん)さを維持している主因は安価な電気自動車(EV)やソーラーパネルの輸出だが、中国の工業力による雇用喪失の新たな波を懸念する欧米各国の政府から保護主義的な反応を引き起こしている。

中国の貿易黒字が過去最大に-相手国に警戒感、摩擦激化リスク

ただ、欧米のこうした対応は、貿易や軍事を巡る緊張が悪化しても足かせにならないよう、高度な半導体など戦略的分野で自立するという習氏の決意を強めるだけだ。