大型トラックが通行するからだけじゃない! いま日本の道路が「荒れて」いる目から鱗な要因

AI要約

道路の損傷が乗り心地の悪さに影響しており、交差点周辺での損傷が目立つ。

大型トラックの増加や気候変動による路面温度の上昇も損傷の原因の一つとなっている。

道路整備の費用削減や税金の活用が道路の劣化を招いており、安全面での懸念も出ている。

大型トラックが通行するからだけじゃない! いま日本の道路が「荒れて」いる目から鱗な要因

 最近、幹線道路や国道などの交通量の多い道路を走っていると、乗り心地が悪いという印象を受けることはないだろうか? 乗用車、トラックを問わず、昔と比べてクルマ自体の乗り心地に関する性能は向上しているにもかかわらずだ。車両側の進化にもかかわらず、クルマが大きく揺すられたり、進路を乱されることが珍しくない。これは路面が波打っていたり、穴が空いている、深く轍(わだち)ができてしまっていることが原因だ。

 とくに交差点の手前と交差点後に損傷が激しい箇所が目立っているように感じる。これは交差点の前の部分が赤信号などで停止するときに前輪に大きな荷重がかかり、道路の負荷が増えていることを示している。交差点後の損傷は青信号で発進し加速が本格化したときに後輪荷重が増えていることで、やはり路面に大きな力が加わるのだろう。

 こうした損傷はいきなり発生するものではなく、毎日の交通により少しずつ繰り返し傷めつけられ、少し大きな衝撃が加わった際などに損傷が本格化する。一度損傷が発生したカ所は、さらに衝撃が集中するようになって、どんどん損傷が酷くなっていってしまうのだ。

 日本の物流規模が急拡大して、荷物の取り扱い量が急増していることに対応するため、トラックは大型へのシフトが進んでいる。これによって大型トラックの比率増加が路面の損傷に影響しているのは間違いない。しかし、それだけが原因とはいえないだろう。

 このところの気候変動で路面温度が上昇しているのも、道路の損傷が進んでしまう原因のひとつだ。路面が太陽光線で熱せられると、アスファルトは硬度を低下させてしまう。それでもアスファルトに含まれる骨材(砕石やその粉末など)の量や質によって強度は大きく変わる。骨材がほとんど入っていないアスファルトは、真夏の日射で柔らかくなり、タール状に溶けて靴底などに付着してしまうことがある。

 小石が入っていることは見てもわかるが、実際にはタールはさらに細かい粉状の石が混ぜられており、これがアスファルトの強度を高めている。だが、これは表面のアスファルト層だけの問題で、実際には下層にあるコンクリート層や砕石の量や質、締め固めぶりなどで強度は大きく変わってくる。

 アスファルト道路の構造にはいろいろ種類があるが、表層の舗装だけでなく、その下の路盤、路床といった構造で支えられている。舗装といわれるのは路盤以上の部分だが、実際には全部で1m近い厚さとなるのだ。その各層の厚さなどにも基準があるのだが、昨今は工期短縮とコストダウンで路面品質が低下している印象もある。

 高速道路は総延長が伸びて便利になった反面、路面の整備量も多くなり、修復が追い付いていないカ所も見受けられる。有料の高速道路ですらそんな状況なのだから、一般道はさらに酷い状況になっているのも当然だ。

 そもそも自動車税や重量税、ガソリン税(軽油引き取り税も同様)は道路整備に使われるための目的税だったものが、一般財源化(普通税)されてしまったことも、道路整備状態を劣化させてしまった原因のひとつではないだろうか。ある道路補修関連の社団法人の調べでは、道路に関する建設および維持の経費(公共投資)は平成7年をピークに年々減少傾向にある。

 こんな状態が続くと、トラックも走行中に進路を乱されて衝突事故を起こすケースも出てくるのではないだろうか。それくらい、路面には穴や轍が酷い箇所が散見される。

 米国のフリーウェイは無料の高速道路だけれど、道路に穴が空いているのも珍しくない。さすがに日本の高速道路はそこまで酷くはないが、綻びは見える。一般道は穴や轍が目立つ。低扁平タイヤとインチアップしたホイールを履いているオーナーは、うかつに穴にホイールをヒットさせないように、十分に余裕をもって走ることだ。