「各事業の持つ要素技術に新たな価値、バラバラに扱うのではなく融合させていく」…ジェイテクト・近藤禎人社長

AI要約

ジェイテクトは、トヨタ自動車グループで様々な自動車部品を手掛ける会社で、要素技術の統合を目指している。

社長の近藤禎人氏はトヨタ出身で、生産技術の経験を活かして新たな付加価値の創造に取り組んでいる。

自動車業界の動向に合わせて、顧客ニーズを的確に捉える姿勢を大切にし、革新的な提案を目指している。

 ジェイテクトは、トヨタ自動車グループでステアリングや軸受けといった自動車部品のほか、生産機械を手掛ける。各事業の要素技術を一つに束ね、新たな付加価値の創出を目指す。トヨタ出身で社長に就任した近藤禎人氏が読売新聞などのインタビューに答えた。(杉本要)

 ――トヨタではどんなキャリアを積んできたか。

 「入社して35年間、ほぼ一貫して生産技術畑を歩んできた。2000年代には、北米で4速のオートマチック車の変速機のプロジェクトがあって赴任した。

 帰国後は、電池のような電動化にかかわる生産技術の立ち上げも担当した。ほかの駆動部品も担当し、20年からはモノづくり開発センターという組織の設立に携わった。最近話題になっている(複数の部品を一体成型する)ギガキャストの開発にも加わっている。

 ジェイテクトとは、リチウムイオン電池の生産設備で20年ほど一緒に仕事をしており、社長拝命はうれしい限りだ」

 ――優先して取り組む課題は。

 「1月にジェイテクトに顧問として来て、半年間に感じたのは、自動車部品や軸受け、工作機械などの事業部がそれぞれ強い要素技術やノウハウを持っていることだ。しかし、それがほかの事業に使われていない。

 各事業の持つ要素技術は、コモディティー(汎用(はんよう)品)化し、付加価値のレベルは落ちつつある。新たな価値を作るには、要素技術をバラバラに扱うのではなく、うまく融合させることが大切だ。

 現在、各事業の要素技術を一つにまとめた『テクノロジー・プラットフォーム(技術基盤)』を作ろうとしており、これを基に、オンリーワンだといえる解決策を生み出していきたい。8月に予定する新しい中期経営計画を発表する場で詳しく説明したい」

 ――自動車業界では、ソフトウェアの更新によって性能を高めるSDVの開発が盛んになっている。

 「ジェイテクトの商品にも大なり小なり影響がある。顧客である自動車メーカーとの会話を通じて、顧客が求めているものを感じ取る必要がある。今までのような受け身の仕事の体制から、もう少し積極的にお客様に寄り添い、困ったことを解決する。その推進力がテクノロジー・プラットフォームになるのではないか。新しい車づくりに対して、しっかりと提案できる会社にしていきたい。