西武池袋線「改鋏ラリー」で探る、都市と自然の交差点! 「開業100周年」を迎えた各駅の今を巡る

AI要約

改鋏ラリー用 西武線1日おでかけきっぷが発売され、西武線の特定4駅でイベントが実施されていた。

改鋏ラリーでは収集券に鋏を入れてもらうイベントが行われ、1日で4駅を回る日帰り旅が楽しめた。

西武池袋線は歴史ある路線であり、開放的なイベントで沢山の利用者を楽しませた。

西武池袋線「改鋏ラリー」で探る、都市と自然の交差点! 「開業100周年」を迎えた各駅の今を巡る

 西武鉄道で、2024年6月11日からユニークなフリーパスが発売されていた(2000枚に達し次第終了)。その名も「改鋏(かいきょう)ラリー用 西武線1日おでかけきっぷ」。改鋏とは、駅員などが乗客の切符にはさみを入れることを意味する。

 同切符は、西武池袋線の

・椎名町

・中村橋

・ひばりヶ丘(当初は田無町)

・清瀬

各駅の開業100周年を記念したもので、その4駅では改鋏ラリーなるイベントが実施されていた。

 果たして改鋏ラリーとはどういったものなのか。「改鋏ラリー用 西武線1日おでかけきっぷ」を購入して、100年を迎えた各駅の魅力を探す日帰り旅へと出掛けてみた。

 西武池袋線は、東京の一大ターミナルである池袋駅から練馬・所沢・飯能などを経由して埼玉県の吾野(あがの)に至る路線だ。

 1915(大正4)年に武蔵野鉄道武蔵野線として路線の大部分に当たる池袋から飯能までが開通、その後1922年に電化されたのち1929年には吾野まで延伸された。なお、1969(昭和44)年にその先の秩父まで西武秩父線として延伸開通した以降は、両線が一体的に運行されており、さらに一部列車は秩父鉄道に乗り入れている。

 西武池袋線は沿線の開発にともない徐々に駅が増えていった路線であり、今回改鋏ラリーの対象となった4駅も、1923年に発生した関東大震災後の郊外開発の進展にともない、1924年6月に追加開業したものだ。

 今回開催された改鋏ラリーを簡単に説明すると、駅で常備券(券売機や端末で発行した切符ではない紙製のもの)型の乗車券風「改札鋏痕収集券」を受け取り、対象駅をめぐりながら改札鋏痕収集券に昭和の有人改札でおなじみだった鋏(はさみ)を入れてもらうというイベントだ。

 ラリーに参加するには、まず小田急グループ(西武ではない)が運営する電子チケットアプリ「EMot(エモット)」をスマートフォンにインストールし、専用の電子乗車券「改鋏ラリー用 西武線1日おでかけきっぷ」を購入する必要がある。図らずも

「紙の乗車券(風の収集券)に鋏を入れてもらうためには電子乗車券が必要」

という“時代の交錯感”も体験できてしまう、というわけだ。

 ちなみに、電子乗車券「改鋏ラリー用 西武線1日おでかけきっぷ」は、池袋線のみならず西武のほとんどの路線が始発から終電まで

「1日乗り放題(高麗〈こま〉駅~秩父駅と多摩川線以外の西武全線で有効、特急券を買えば特急も利用可能)」

となるにもかかわらずたったの1000円。しかも改鋏ラリーに参加できるうえ“お土産”付き(後述)というから大盤振る舞いだといえよう。

 最近は沿線を舞台とした異色のアニメ作品「終末トレインどこへいく?」も話題となっている西武池袋線であるが、都外在住である筆者(若杉優貴、商業地理学者)は3回しか利用したことがない。しかもそのうち1度は秩父に行くために池袋から特急に乗車したので完全に

「通過しただけ」

で、改鋏ラリー対象駅のうちひばりヶ丘駅を除く3駅は下車したことがない。この3駅は急行以上の列車が停車しない駅であり、比較的降りる機会が少ない駅だといえよう。

 というわけで、まだ見ぬ街への期待を込めて求めて池袋駅へと向かった。