相次ぐ株価最高値 「バブル超え」の期待と不安 35年前もあった警鐘

AI要約

東京株式市場の日経平均株価が史上最高値を連日更新しているが、1989年末のバブル経済最高値を超えたかどうかが注目されている。

過去と現在の経済情勢を比較すると、金利・為替の動向や地価高騰など類似点が見られ、違いを特定するのは難しい。

現在の最高値は過去のバブルとは異なると言及されるが、金利・為替の面では共通した要素がある。

相次ぐ株価最高値 「バブル超え」の期待と不安 35年前もあった警鐘

 このところ東京株式市場の日経平均株価が史上最高値を連日更新するニュースで沸いた。12日(金)は値下がりしたものの、株価への注目は続くだろう。

 ここでたびたび登場するのが、バブル経済の絶頂とされる1989年末の最高値3万8915円を上回る「バブル超え」だ。

 ただ「バブル超え」を聞いた時、全く逆の2つを意識してしまう。

 一方で35年かかって上回り、さあこれからだという期待。他方で再び下落に転じ、崩壊が迫っているのではという不安だ。

 相場格言「もうはまだなり、まだはもうなり」とはよく言ったものだ。

 株価4万2000円を超えた今回の最高値はバブル絶頂期とは異なるだろうか。

 確かに今、ディスコのお立ち台で踊る人はいないし(念のためだがジュリアナ東京は1991年)、1万円札を振りかざしてタクシーを探す人も見ない。そもそも一度痛い目にあって繰り返すはずがないだろう…。当時の社会現象を知る人に聞けば「バブルとは違う、違う」と答えるだろう。

 しかし経済情勢を見ると、必ずしも「違う」とだけは言い切れないのだ。

 1989年当時と現在をマクロで比べると似ている点がある。特に金利・為替動向と地価高騰だ。

 このうち金利・為替が似ているというのは意外かもしれない。バブル経済は超低金利政策の産物というイメージが強いからだ。全体を通じてはその通りである。

 しかし1989年当時はすでに金利上昇局面にあった。2.5%だった公定歩合は5月に9年ぶりに引き上げられたあと、10月と12月にも利上げし4.25%に達していた。物価高の圧力を抑えるためだった。ただこの3回の利上げ時の株価値下がり分を市場は“吸収”した。

 またプラザ合意(1985年)以来の円高が続いていたと思いがちだが、1989年当時はむしろ先行利上げした米欧との金利差から生じる円安が問題になっていた。1ドル123円(1月)が143円(年末)まで大幅に下落した。金利引き上げは円安に歯止めをかける狙いもあった。

 水準こそ違うものの当時の金利と為替の方向性は、現在に重なる面がある。