そういえば、飛行機の離着陸時「機内の照明」が消えますね 一体なぜでしょうか?

AI要約

機内の照明が暗くなる理由は、緊急時の脱出訓練に関わる安全上の配慮である。

90秒ルールに基づき、離着陸時には機内照明を落とすことが一般的である。

一部の航空会社は照明を残すが、緊急時には非常灯が点灯するため問題ないとされている。

そういえば、飛行機の離着陸時「機内の照明」が消えますね 一体なぜでしょうか?

 夜間に飛行機に乗ると、離着陸時に機内が暗くなることに気づくだろう。「なぜだろう」と不思議に思っていた人もいるかもしれない。

 機内の照明が落とされるのは、もちろん安全のためである。

「暗順応(あんじゅんのう)」

という言葉がある。自動車教習所でトンネル内の運転について学ぶときに耳にする言葉、といったらわかりやすいだろうか。

 暗順応とは、明るい場所から暗い場所に移動する際に、目が暗闇に慣れる現象のことである。順応には「30~60分かかる」といわれている。

 緊急着陸時には機内の照明が落ちてしまうことが予想されるため、乗客は周囲の状況がわからず、脱出のための行動が遅れる可能性がある。そのため、離着陸時には機内の照明を落とし、暗闇に目を慣らす必要があるのだ。

 安全の「90秒ルール」は、緊急時の脱出目標である。これは

「全非常用脱出口の半分以下を使って、事故発生から90秒以内に乗客全員を脱出させなければならない」

と定めた世界基準である。

 1983年に発生したエア・カナダ797便火災事故を受けて、国際航空運送協会(IATA)が定めた。緊急着陸時に乗員乗客は生存していたものの、火災で多くの人が命を落としたことから作られた。

 これを受けて、世界中の航空会社は、緊急時には90秒以内に乗客を機外に脱出させる訓練を実施している。過去の航空機事故を見てみると、事故発生時、エンジンなどから出火してから

「2~3分後」

に爆発が起きている。したがって、この90秒は人命にかかわる重要な時間である。

 そのため、90秒ルールを守り、迅速に脱出するためには、離着陸時には機内の照明を落とし、早い段階から暗闇に目を慣らす必要があるのだ。

 ただ、世界中の多くの航空会社は、離着陸時に機内の照明を暗くする傾向にあるが、実際の規定はない。そのため、機内の照明も

「機内サービスの一環」

と考え、離着陸時に照明を落とさない航空会社もある。なぜなら、

「緊急時には非常灯が点灯するため、避難には問題がない」

とされているからだ。機内の照明の扱いはさまざまだが、いつでも脱出できるように備えておくことは重要である。