子どもは、放課後はいつも自転車でどこかへ遊びに行っています。自転車保険に加入した記憶がないのですが、未成年なので罰則はないですよね?

AI要約

自転車保険への加入義務や背景について解説。

標準条例による加入対象や罰則について明確化。

高額な損害賠償事例から自転車保険加入の重要性を強調。

子どもは、放課後はいつも自転車でどこかへ遊びに行っています。自転車保険に加入した記憶がないのですが、未成年なので罰則はないですよね?

「自転車も保険に入らないといけない」ということを、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。自転車事故による高額な損害賠償事例を背景に、条例による自転車保険(自転車損害賠償責任保険など)への加入の義務化が進んでいます。

「子どもは自転車保険に加入していたかな?」と、記憶が曖昧な方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、自転車保険への加入を義務化している条例や、自転車保険の内容について解説します。本記事を読んでいただければ、自転車保険についてどのように対応すべきかをご理解いただけると思います。

自転車保険への加入義務については、法律で規定されているのではなく、都道府県などが条例で定めることになっています。国土交通省のホームページ「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」によると、令和5年4月1日時点での地方公共団体の条例の制定状況は、図表1のとおりです。

図表1

出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」

条例によって定めるため、自転車保険への加入が「義務」なのか「努力義務」なのかは、お住まいの地方公共団体によって異なります。とはいえ、条例を制定するに当たり、国土交通省は「標準条例(自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例)」を作成しており、各地方公共団体はこの標準条例を参考にしているものと思われます。

標準条例では、自転車保険に加入しなければならない(加入するよう努めなければならない)方を以下のように規定しています(標準条例第3条)。

・自転車を利用する者(未成年者を除く。)

・未成年者を監護する保護者

・事業者

・自転車の貸付けを業とする者

したがって、未成年者は加入義務(努力義務)の対象ではありませんが、その保護者は対象となります。

実は、「標準条例」には罰則規定がありません。仮に、未成年者の保護者が自転車保険に加入していなくても、罰則はありません。

しかし、私たちが認識しなければいけないことは、自転車保険への加入義務化の背景には、自転車事故による高額な損害賠償事例があるということです。警視庁のホームページ「自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等への加入義務化」には、自転車事故による高額賠償事例として、以下の2つの判決(損害賠償命令)が掲載されています。

・神戸地裁(平成25年7月4日判決):賠償額9521万円

・東京地裁(平成20年6月5日判決):賠償額9266万円

この判決は、どちらも未成年者が加害者となった自転車事故です。万が一、このような事故を起こしてしまった場合の金銭的な備えとして、保険に加入しておくのがよいといえます。