日本の「もしトラ」業種、防衛関連株が上昇機運-米中緊張の再燃読む

AI要約

共和党候補のトランプ氏が再び大統領になる可能性により、中国との緊張が高まるリスクがある。

このことが日本の防衛関連株にとって新しい株価の押し上げ材料となり得る。

日本政府は安全保障関連3文書を決定し、国防費増強を計画しており、日本とフィリピンは相互の安全保障協力を深めている。

トランプ氏復帰の「もしトラ」シナリオや日本の安保環境が防衛関連株に好影響を与えており、防衛企業は株価で高いパフォーマンスを示している。

日本の「もしトラ」業種、防衛関連株が上昇機運-米中緊張の再燃読む

(ブルームバーグ): 共和党候補のドナルド・トランプ氏が11月の米国大統領選挙で勝つと中国との緊張が再び高まるリスクがあり、日本の防衛関連株は昨年来の上昇を後押しする日本の国防費増強の動きに加え、新たな株価の押し上げ材料を手にするかもしれない。

6月下旬に行われた1回目のテレビ討論会で民主党候補の現職ジョー・バイデン大統領よりも優勢と評価されたトランプ氏は大統領1期目の2017-21年、「米国第一主義」を掲げて中国との対立姿勢を強めた結果、台湾や同盟国の日本との関係は深まった。

海洋進出に熱心な中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮、ウクライナに侵攻したロシアのと接する東アジア情勢など世界的なパワーバランスの変化を背景に岸田政権は22年末に安全保障関連3文書を閣議決定。23年度からの5年間で国防費に総額43兆円を投じ、22年度は1%未満だった対国内総生産(GDP)比率を27年度に2%へ高める計画だ。

シーレーン上の要衝に位置する日本とフィリピン両国は8日、地域の安全保障環境が厳しさを増しており、自衛隊とフィリピン軍の相互アクセスや協力の円滑化を進めるための協定に署名した。

トランプ氏が米大統領に返り咲く「もしトラ」のシナリオに加え、日本を取り巻く安保環境は国内の防衛関連株にプラスに働く可能性がある。ゴールドマン・サックス証券が算出し、防衛費増加の恩恵を受ける日本企業で構成したバスケット指数はブルームバーグが入手可能な20年3月以降のデータを見る限り、最高値圏で推移している。

三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、トランプ大統領が誕生すれば、「中東や台湾海峡などいろいろと軍事リスクが高まるのではないかとの発想は当然働いている」と話す。

今年に入り34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価の年初来の構成銘柄パフォーマンスを見ると、上昇率2.4倍で2位の三菱重をはじめIHIや川崎重工業、日本製鋼所など防衛関連銘柄が上位を占めている。