任天堂復活のカギは「カルチャー」の変化にあり? 「縦割り構造」が会社にもたらす根深い問題

AI要約

著者レジー・フィサメィがアメリカ任天堂の復活に貢献した経緯について紹介。

アメリカ任天堂での縦割り構造の打破と企業カルチャーの改善による成功事例。

著者の信念と実践により組織が変化し、成功への道を切り拓いた様子。

任天堂復活のカギは「カルチャー」の変化にあり? 「縦割り構造」が会社にもたらす根深い問題

世界に冠たる日本企業でありながら、一時期、競合他社の後塵を拝していた任天堂。その起死回生の立役者のひとりとなったのが、『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』の著者レジー・フィサメィだ。

任天堂復活を支えたものとは何だったのか。「企業の強さの根源はカルチャーにあり」と考える起業家・経営者の池見幸浩氏が、本書を通じ改めて考察した「企業カルチャー論」を語る。

■アメリカ任天堂から始まった「縦割り構造」打破

 『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』では、セールス&マーケティングのEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)としてアメリカ任天堂に迎えられた著者が、部下たちとコミュニケーションを図りながら、同社のカルチャーにまでテコ入れする様が語られています。

 僕も「企業の強みの根源はカルチャーにある」と考えているため、その点でも非常に共感できました。

 本書によると、当時、任天堂にはアジア統括する子会社(NCL)、ヨーロッパを統括する子会社(NOE)、アメリカを統括する子会社(NOA=アメリカ任天堂)があり、地域間で競っていたために成功事例などを共有するカルチャーがありませんでした。

 みな任天堂という大家族の一員であるにもかかわらず、互いに競い合うばかりで分断され、有益な情報共有が行われていない。グループ全体として考えれば、これが大きなボトルネックになっていたことは想像にかたくありません。

 そんな縦割りカルチャーに、アメリカ任天堂という最大子会社から風穴をあけたのが著者でした。

 他の地域から学び、成功につながったアイデアは取り入れる一方、同じ失敗は避ける。信頼感に基づく対話を促すために、個人間の人間関係を重視する。プロジェクトごとに特に功績の大きかったスタッフには労いのメッセージを書いたカードを贈り、彼ら・彼女らのさらなる意欲向上を図る。こうした著者の信念と地道な実践により、徐々にアメリカ任天堂はフラットな組織へと変わっていったと言います。