日本の家計金融資産は5四半期連続で過去最高を更新。新NISA開始で「貯蓄から投資へ」の時代が本格到来。現金価値が目減りするインフレの今こそ投資を始めよ

AI要約

日本の家計の金融資産が5四半期連続で過去最高を更新し、新NISA制度による口座開設数の増加が大きな要因となっている。

日本の金融資産構成において現預金が半分以上を占めており、欧米に比べて株式投資の割合が低い状況が示されている。

投資を始めることの重要性と日本の金融資産の差が強調され、投資が資産形成においてどれだけ重要かが示唆されている。

●日本の家計の金融資産は2199兆円。5四半期連続で過去最高を更新! 

 日銀が6月27日に発表した資金循環統計(速報)。2024年3月末における家計の金融資産は前年同期比で7.1%増え2199兆円となった。2021年3月末の8.2%増以来の高い伸び率となり、これで金融資産額は5四半期連続で過去最高を更新した。

 年間で7%の金融資産の増加はかなりハイペースだ。しかも日本全体の家計での話なので尚更驚いてしまう。インフレ時代で日頃の家計のやり繰りが大変になる中、日本人がそんなに貯蓄に励んだとはとても思えない。

 もちろん、ここにはカラクリがあった。「カラクリ」と言うのは語弊があるので言い改めると、金融資産効果が働いたのである。株式の保有残高が前年同期比で33.7%増の313兆円となり、投信の保有残高は同31.5%増の119兆円となった。金融資産全体の純増額146兆円のうち、株と投信で108兆円を稼ぎ出したことになる。きわめてインパクトのある数字だ。その背後にはもちろん、今年からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)の存在がある。

●資産増の要因に新NISAの存在。新規口座開設数は順調で5月末で224万件

 NISA制度自体は今から10年前の2014年に開始したが、旧NISAは投資期限が決められ、資産形成には投資枠が小さすぎ、さらに運用資金のロールオーバーなどが煩雑で硬直的な仕組みだった。はっきり言って「これは使えない! 」と思われていた方々も多かったのではないか?  私もその一人で、結局初年度だけは利用したものの2年目から全く使わなくなった。

 ところが「新NISA」は保守的な国民に資産運用を本格的に促すキッカケとなる魅力がある。18歳以上なら誰でも新たに1人1口座を開設することができ、生涯無期限で1800万円の投資元本を非課税で運用できるのだ。旧NISAは窮屈な選択制だったが、新NISAは投資信託に投資する「つみたて投資枠」と個別銘柄に投資する「成長投資枠」をダブルで活用することもできる。とにかく、1人あたり1800万円、夫婦なら3600万円まで投資することができ、キャピタルゲイン(値上がり益)もインカムゲイン(配当)も生涯非課税で運用できれば、「老後に2000万円資金が足りない! 」との問題は解決される。

 新NISAの口座開設ペースは順調である。証券会社10社のNISA口座の新規開設数は5月末までに224万件に達し前年同期比で2.6倍に増えた。海外株式型の投資信託だけでなく、日本株への投資で個人マネーの流入が続いている。資金流入に加えて世界的な株式市場の上昇による含み益増加効果も大きい。

●米国の金融資産は日本の8.2倍と大差。現預金偏重がインフレ時代の仇に

 ところで、日本の家計の金融資産の内訳をみると、現預金が50.9%、保険・年金24.6%、株式14.2%、投信5.4%となっている。依然として全体の半分を占めているのが現預金であり、金額ベースで1118兆円ある。米国の12.6%やユーロ圏の35.5%を大きく上回っている。欧米に比べると日本はまだまだ現預金偏重の構成となっており、投資の果実(=経済成長の果実)を受けていない個人の姿が浮かび上がる。いや、昨今のインフレ時代においては現預金の価値は物価高で目減りしている。「日本も構造的デフレからようやく脱却した」と喜ぶべき環境において、価値を失っていく現預金のデメリットを痛感させられるばかりだ。

 実際、日米の金融資産を比較すると一目瞭然である。日本の2199兆円に対して、米国の金融資産は112.4兆ドル(日本円換算で1.79京円、ドル円は160円を前提)と日本の8.2倍の規模。また内訳は株式・投信が52.4%、保険・年金が28.3%、現預金が12.2%となっている。はっきり言って、リスク資産と無リスク資産の比率が日本とは真逆だ。2000年からの金融資産の伸び率は米国が3.2倍に対して、日本は1.5倍と半分以下に留まっており大差がついている。

●少額でいいから今こそ資産形成に踏み出さなければ、永遠に取り残される

 投資にはもちろんリスクがつきものだ。運用資産は経済や市況により変動する。しかしながら、長期投資の成果は大きく、投資期間を長く取れば取るほど運用成果が安定し、経済成長や企業成長の果実を享受することができる。2000年からと言えば、あの「100年に1度」と言われた忌まわしきリーマン・ショックによる暴落があり、チャイナ・ショックやコロナ・ショックも含まれている。だが、そうした市場の急落を乗り越えて、長期投資家に恩恵を与えてくれる。

  「今、お金がないから投資できないです」とか「いつかやりたいと思います」などと言う人がよくいるが、こういう人は10年経っても資産運用に取り組んでいない。「お金がないから」や「いつか」ではなく、「今、少額から」でも始めることが大事だ。習慣化すればどんどんいい方向に進むのが投資である。一歩踏み出すか、踏み出さないか…。答えは簡単だ。踏み出さなければ永遠に「取り残された人」になってしまう。

 私は今年還暦を迎えたが、同年代を見渡すと資産額にあまりにも大きな差があり過ぎて、正直かなりの驚きと戸惑いを覚える。皆さまにはお金に苦労する老後だけは避けていただきたいと思う。惨めである。そうならないためにも使い勝手が格段に良くなった新NISAをバッチリ活用していただきたいと真摯に思っている。

●「勝者のポートフォリオ」は累計60%。7月4日セミナーで祝勝と展望を! 

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。6月末時点でのパフォーマンスはちょうど+60.0%(配当込みベースでの同期間比較:TOPIX+47.8%、日経平均+41.8%、東証グロース250指数-40.9%)となり、マーケットを大きく凌駕している。

 2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。次回のWebセミナーは7月4日(木)20時からの開催予定である。テーマは『来たるべき金融相場での投資戦略』。心待ちにしている金融相場での戦い方についてお話したい。毎回300名を超える参加人数である。この日は米国の独立記念日であり、私の60回目のバースデーでもある。バースデーWebセミナーということで大いに盛り上がると思う。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。

 そして、スペシャル講義では『ポートフォリオ理論』に続き、太田流『ポートフォリオ実践』をスタートした。資産運用においてポートフォリオ運用のノウハウを知っておくことは必須で、個人投資家に身に付けてもらうことが目的である。また、太田流『新NISA活用法』もすでに完結した。700名近くの会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでおり大きな成果を出している。資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。

 ●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。