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労働者を讃える、ベッドフォードのニューチャプター【2025年春夏コレクション】
ベッドフォードがパリの高校で2025年春夏コレクションを発表。労働者階級の姿を美しく描いたコレクション。
レイヤードのルックや労働者を強調するアイテムが目立つ。ピリッとした生地の代わりにリラックス感のある素材が使用されている。
デザイナーの山岸はパリでの活動を大切にし、新たな挑戦に意欲。家族と仕事のバランスを大切にする姿勢が伝わる。
![労働者を讃える、ベッドフォードのニューチャプター【2025年春夏コレクション】](/img/article/20240702/6683d065a097f.jpg)
ベッドフォード(BED j.w. FORD)が6月23日(現地時間)に、パリの高校「アンリ4世校」の中庭で2025年春夏コレクションを発表した。パリ・メンズの公式スケジュールに参加するのは、これが3度目だ。ショーのリハーサル直前の慌ただしい状況の中、ベッドフォードのデザイナー・山岸慎平は落ち着き払った様子で「今日も前回の1月や去年の6月とまったく同じ気持ちです。パリに強く惹かれているので、ここでやり続けていきたいです」と話した。
コレクションのタイトルは「Working Class Theater(=労働者階級の劇場)」。家族や夢、それぞれの守りたいもののために汗をかき働いている労働者たちの姿を美しく思い、彼らへの讃歌としてコレクションを作り上げた。
ランウェイは、オーバーサイズのレザージャケットとオーカーのニットカーディガンをレイヤードしたルックで開幕。2ルック目には、テーマに据えた“労働者”を強調するレザー製の工具バッグが登場した。そして、それ以降、数多くのアイテムの袖口に付けられた小さな金や銀のベルは、終業のベルと劇場をイメージしたもの。揺れ動くたび小さく“シャンシャン”と鳴る終業のベルが、ネクタイをゆるく結んだいくつかのルックと仕事終わりのビジネスマンを、シースルートップスの雫のようなデザインと労働で流れる汗を結びつける。
ワーキングクラスと銘打ってはいるものの、直球のワークウェアはほとんど登場しないが、タオルケットのような生地で仕立てられたホワイトやヴィヴィッドなピンクのラフな質感のセットアップなど、これまでのベッドフォードとは異なるアプローチが見受けられる。今回は、ピリッとした緊張感のある生地は避け、リラックス感のある素材を中心に構成したのだという。
ショー直後のバックステージで山岸は「少しスピードをあげて、ここの面白い人たちと関わり、自分の知らない世界に挑みたいですね」と意気込んだ。今シーズンからは、パリ拠点のスタイリストMAURICIO NARDIも参画し、新たなチームが出来上がりつつある。そして「パリでの発表を重ねて、この国の“劇場”の一員になりたいと考えています。来年には新しいニュースも控えているので、今はそれに向けて一生懸命頑張りたいですね」と続けた。インタビューの途中、ショーを成功させた彼のもとへ彼の幼い娘が駆け寄ってきて、それに笑顔で応えているのを見た。その微笑ましい光景が、ショーの前に聞いた「何かのために仕事を頑張っている人は美しく、きっとその人にしかない小さな幸福が宿っていると思います。そして僕もそんな『Working Class Theater』の一員です」というコメントを思い出させる。