いきなり!ステーキ創業者・一瀬邦夫氏が明かす、81歳でいきなり新店を始めた理由 かつてスタッフ4000人、いまは4人
いきなり!ステーキの創業者である一瀬邦夫氏が、業績不振により息子から引導を渡されるも再挑戦し、和牛ステーキ専門店をオープン。
振り込め詐欺や事故に見舞われながらも経営を軌道に乗せ、従業員と共に成長を実感している。
店舗数拡大よりも、顧客との距離を近くし、個人的な関係を築くことに重点を置いている。
「うちの息子から『社長、辞めてください』と言われてね。良い潮時だと思ったよ」──全国各地に大量出店したあと、急激に店舗数を減らしていった「いきなり!ステーキ」。創業者の一瀬邦夫氏(81)は2022年、業績不振により当時副社長だった息子から引導を渡された。
表舞台から姿を消したかと思いきや実は昨年、東京・両国で和牛ステーキ専門店「和邦」をオープン、自ら厨房に立っている。一瀬氏はこう語る。
「僕は51歳で『ペッパーランチ』、71歳で『いきなり!ステーキ』を始めたから、81歳になったら誰もやったことがないような店を始めたいと思ったの。このまま終わりたくないと思ってね」
開業後は振り込め詐欺で700万円の被害に遭ったり、店の階段で転んで左手を骨折するなど不運にも見舞われたが、経営は軌道に乗りつつある。
「やることがあるって、良いものだよ。従業員が生き生きと働いて、自分が誰かの役に立っていることが嬉しい。会社っていうのは、経営者が社員思いでなければ、絶対に成長しないんです」(同前)
かつては4000人のスタッフを率いてきたが、現在の社員数は4人。今後、かつてのように店舗数を拡大していくのか。
「もう店を増やそうなんて考えていません。遠くから来てもらって、私の顔を見て一声かけてもらえるような店にしていきたいですね」(同前)
いきなり始めた81歳の挑戦、成否やいかに。
※週刊ポスト2024年7月12日号