中国で開催の夏季ダボス会議、関税巡る企業の不安が浮き彫りに

AI要約

中国の夏季ダボス会議では、世界の関税に関する関心が高まり、貿易不安定性が取り沙汰された。

中国首相の李氏は、保護主義を非難し、各国経済のデカップリングが世界を破壊的なスパイラルに導く可能性を警告した。

世界の企業は不確実性に直面し、市場への供給を確保するために対策を講じる必要がある。

中国で開催の夏季ダボス会議、関税巡る企業の不安が浮き彫りに

(ブルームバーグ): 今週中国の大連で開催された世界経済フォーラム(WEF)主催の夏季ダボス会議では、出席者の関心は世界の関税に集中した。中国と欧米の緊張関係の影響を軽減するため、各企業は戦略を見直している。

中国の李強首相は開かれた貿易を呼びかけるとともに保護主義を非難し、各国経済のデカップリング(切り離し)は世界を「破壊的なスパイラル」に陥れるだけだと述べた。中国の企業がより高い貿易障壁、特に米国、欧州、そしておそらくカナダによるものに直面し始めた中での発言だった。

李氏の発言は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)と米中の貿易対立により供給網が急速に変化した数年を経て、貿易がいかに不安定になったかを如実に物語っている。今後起こりえる事態の深刻化や追加関税は、価格上昇や部品の調達待ち時間の長期化、その他多くの不確実性に直面している世界の起業家にとって、困難をさらに悪化させる恐れがある。

ジョージ・ワシントン大学のマギー・チェン教授(経済・国際情勢)は「企業は常に『ジャスト・イン・タイム(ちょうどいいタイミング)』で市場への供給を行っているが、今や何が起こるかわからないため、多くが『ジャスト・イン・ケース(念のため)』を追求するようになった」と指摘する。夏季ダボス会議では「企業の不安を感じた」とも述べた。

中国は5%前後の経済成長を目標としており、政府支援を受けた安価な輸出品と工業生産の急増が、今年の成長を後押ししている。こうした取り組みは、自国産業が市場シェアを失うことになるとして、先進国の反発を招いている。米国のバイデン政権は5月、中国製電気自動車(EV)に対する関税をほぼ4倍に引き上げ、102.5%とする計画を発表した。今月には、欧州連合(EU)が中国製EVの関税を最大48%とする方針を示した。カナダも今週、同盟国と足並みをそろえ、中国製EVへの追加関税を検討すると発表した。