ブラックロック元幹部、化石燃料「悪者扱い」問題視-移行阻害を懸念

AI要約

元ブラックロックのサステナブル投資担当責任者は、環境問題への取り組みにおいて、悪者扱いをやめる必要があると述べた。

化石燃料産業についての誤解や、クリーンエネルギーへの転換の難しさなどが話題となっている。

エネルギートランジションには社会的な同意が必要であり、グリーンエネルギー関連株の下落なども影響を及ぼしている。

(ブルームバーグ): ブラックロックの元サステナブル投資担当責任者ポール・ボドナー氏は、環境問題への取り組みを前進させる上では、気候変動活動家が化石燃料産業を「悪者扱い」するのをやめる必要があると述べた。

現在ベゾス・アース・ファンドでサステナブルファイナンス担当ディレクターを務めるボドナー氏は、「今は産業界と環境コミュニティーの間で、悪者扱いがなされ過ぎている」と言及。「死闘のようだ。もう少し、協力的な姿勢が必要だ」と語った。

ニューヨークで先週開催されたカンファレンス「グリーンフィン24」で同氏は講演し、石炭採掘について、生計を立てる手段であると同時にコミュニティーが頼りにする税を生み出す産業であり、投資先でもあると指摘した。

これに先立ち、KKRの共同創業者ヘンリー・クラビス氏は今月、気候変動活動家はクリーンエネルギーへの転換の難しさを過小評価していると述べた。活動家がスピーチを中断させKKRの化石燃料への投資を批判したことを受け、「彼らは現実を理解していない」と語った。

講演後のインタビューでボドナー氏は、グリーンアクティビズムは善と悪の闘いという枠組みで捉えられていると言及。「古い経済が悪で、未来のグリーン経済が素晴らしく、その間には何もないというストーリーが相応に語られている」と述べた。

そうではなく、汚染度の高い資産は撤収される必要はあるが、多くの人々のために安価なエネルギーを生産し発展の原動力となってきたことを認識する「社会的な同意」が必要だとした。

世界が気候変動目標の達成に向け化石燃料からの移行を急ぐ中、「労働者やコミュニティー、投資家にとっての価値破壊を最小化する方法」でそれは行われなければならないと同氏は指摘。「左派と右派、あるいは善と悪の闘いにすればするほど、エネルギートランジションに摩擦をもたらすことになる」と語った。

iシェアーズ・グローバル・クリーン・エネルギー・ファンドで見ると、グリーンエネルギー関連株は、2021年のピーク時から60%近く下落した。高金利や原材料価格の高騰、サプライチェーンを巡る課題が、風力・太陽光発電業界に打撃を与えたためだ。同時に借入コスト上昇が消費者の負担となり、電気自動車の販売も減速している。