エヌビディア株のレバレッジ型ETF、株価急落前に記録的な資金流入

AI要約

デイトレーダーが人工知能関連株ブームに乗り、リターンを狙った結果、エヌビディア株価に関連する上場投資信託で大きな損失を被った事例が紹介されている。

過去3営業日でエヌビディア株の時価総額が約68兆円消失し、レバレッジを効かせたETCに記録的な資金流入があったが、価格が急落して損失が生じている。

ETC投資にはハイリスク・ハイリターンの可能性があり、個人トレーダーは商品構造を理解し、リスクを把握する必要がある。

(ブルームバーグ): 人工知能(AI)関連株ブームに乗るデイトレーダーにとって、毎週2桁のリターンを得られる賭けは他になかった。

これは、米半導体メーカー、エヌビディアの株価についてレバレッジを効かせた上場投資信託(ETF)「グラニトシェアーズ2倍ロングNVDA・デイリーETF」(ティッカー:NVDL)を指す。記録的な資金を注ぎ込んできた個人投資家は今では、同社の約4300億ドル(約68兆6300億円)に上る時価総額消失を受け、大きな損失に直面している。

エヌビディア株が調整局面入り、過去3営業日で時価総額68兆円消失

エヌビディア株の日次リターンの2倍を提供するNVDLには先週、記録的な7億4300万ドルの流入があった。投資家は「世界で最も重要な銘柄」とされるエヌビディア株から得られる利益の増幅を狙った。だがそのタイミングは悪かった。NVDLは18日終値から約25%下落している。年初来ではなお約329%上昇だ。

エヌビディア株の2倍のリターン提供のETF、記録的資金流入

ジョーンズトレーディングのETF部門責任者、デイブ・ルッツ氏は「レバレッジを効かせたNVDAのポジションを積み増すのはかなりハイリスク・ハイリターンの動きだ。株価がモメンタムとセンチメントに左右されてきたことを踏まえると、株価が最終的にいつ持ち直すかは見通しにくい」とし、「個人トレーダーはこれら商品のリスクを完全に把握するために、その構造をしっかりと理解する必要がある」と指摘した。

先週の資金流入は、デリバティブ(金融派生商品)を利用してリターンを押し上げるなどするETF投資で、パフォーマンスが極端に大きく振れるリスクを浮き彫りにしている。インバース型とレバレッジ型ETFは短期間保有を前提に商品設計が行われているためデイトレーダーに人気がある。だが構造上、大きな利益確保だけでなく急激な損失拡大が生じることもあり得る。