新興国の長期債、「災難」から一転注目の的-米利下げ観測再び強まる

AI要約

新興国市場の国債投資家は、昨年末に人気となり、2024年最初の数カ月でその多くが大きく値下がりしていた長期債に再び注目している。

米国のインフレ率の下落が長期国債相場の反発を引き起こし、ドル建て新興国のソブリン債が他のカテゴリーよりも良好なリターンを示している。

米連邦準備制度の利下げ観測が再燃し、デュレーションの長い債券を含む新興国のソブリン債が投資家に好位置を提供している。

(ブルームバーグ): 新興国市場の国債投資家は、昨年末に人気となり、2024年最初の数カ月でその多くが大きく値下がりしていた長期債にあらためて目を向けている。

米国のインフレ率が2カ月連続で予想を下回ったことで、米連邦準備制度の利下げ観測が再び強まり、長期の国債相場が反発するきっかけとなった。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、5月初め以降、期間が10年以上のドル建て新興国のソブリン債はプラス5.3%のリターンと、他の全てのカテゴリーより良い成績となっている。1-4月はマイナス6.9%だった。

ピクテ・アセット・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、グイド・チャモロ氏(ロンドン在勤)は、「災難のように長期のデュレーションを投資家は避けてきた」が、「デュレーションの長い債券を含む新興国のソブリン債は、米国の利下げサイクルが始まる中、良好なパフォーマンスを発揮する好位置にあると考えている」と述べた。

米連邦準備制度による7回近い利下げを見越し今年を迎えたトレーダーたちは、インフレや成長の強さを示す統計が相次ぐ中で、見込まれる利下げの回数を減らした。その後、5月の米消費者物価データが予想外に軟調だったことから、投資家は年内2回の利下げを想定し、早ければ9月から始まるとの予想を復活させた。

ラザード・アセット・マネジメントの新興国市場債マネジャー、アリフ・ジョシ氏によると、このことが新興国債投資家のデュレーショントレードに火を付けた。

「最新のデータが今後1年を示すものなら、米国の成長率は2%前後で、インフレ率は下向きだ。教科書通りなら、デュレーションは勝てるトレードだ」との見方だ。

長期債のパフォーマンス反転は米金融政策の予想がいかに変化しやすいかを示しており、こうした不確実性の中で投資先の選別が引き続き極めて重要なことを意味している。

ジョシ氏にとって、それは新興国市場の長期債セクターの中で、投資適格債と強いダブルB債にこだわることを意味する。