欧米による中国EVへの高関税で苦しむのは、結局日本のメーカーだ!

AI要約

欧州委員会が中国製EVに最大38.1%の追加関税を課す方針を発表。

中国政府の補助金を受けているとして2023年から中国のEVにダンピング調査。

中国企業は新興国市場に進出し、将来的に優位に立つことが予測される。

欧米による中国EVへの高関税で苦しむのは、結局日本のメーカーだ!

6月12日、欧州委員会は中国からEUに輸入される電気自動車(EV)に最大38.1%の追加関税を課す方針を発表した。仏メディア「ユーロニュース」によると、すでに中国製EVに課せられている10%の関税に上乗せされる。この欧州委員会の措置は、中国からのEVに100%の関税を課すという、5月の米政府による発表に続くものだ。

欧州委員会は、中国政府が自動車メーカーに多額の補助金を払っているという訴えを受け、2023年から中国のEVに対するダンピング調査を実施してきた。今後、中国政府との協議で状況が改善されなければ、追加関税は7月から導入されるという。そうなれば、比亜迪(BYD)に17.4%、吉利汽車(ジーリー)に20%、上海汽車(SAIC)に38.1%の関税が加えられる。他のメーカーも調査への協力度に応じて、20%以上を追加されるという。

追加関税が導入されれば、中国の自動車メーカーは欧米市場への進出が難しくなる。しかし、そのために中国企業は今後、新興国市場へEVの売り込みをさらに加速すると、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は予測している。

その結果、東南アジア、ラテンアメリカ、中東など、主要な新興市場において、将来中国メーカーが優位に立つことが見込まれる。中国の成長は、過去数十年にわたってG7経済圏への輸出に依存してきたが、近年では新興国向け輸出額のほうが大きくなっている。

中国企業は、すでにブラジルやメキシコなどの新興国をEVのサプライチェーンに組み込もうとしている。たとえば、BYDはブラジル北東部にあった古いフォードの工場を買い取り、2024年中に電気自動車とハイブリッド車の生産を開始すると発表した。EVバッテリーの主要金属となるリチウムがブラジルでも採掘されることから、その調達も目指している。

さらに、2024年初め、BYDはインドネシアのEV工場設立に13億ドルを投資すると発表した。しかし、東南アジアは、日本メーカーが確固たる地位を築いてきた市場だ。今後中国メーカーの進出が進めば、市場シェアが奪われてしまう可能性がある。

ある日本の自動車メーカーの幹部は、「私たちが非常に恐れているのは、東南アジア市場が中国車に奪われることです」と、フィナンシャル・タイムズに語っている。

日本政府のある高官も、中国企業に優位性があり、日本にとっての「非常に大きなリスク」であることを認識している。「中国はEVだけでなく、バッテリー用の需要な原材料も持っています。だからこそ彼らは非常に説得力のある売り方ができるのです」