川霧のなかを渡し船で!? 幻想的な「廃村ツアー」が人気? 絶景のパワースポットめぐりの魅力とは

AI要約

只見川に浮かぶ「霧幻峡」は廃村を活用した観光地であり、手漕ぎ船で周遊するツアーが人気を集めている。

廃村の歴史や観光スポットとしての魅力、パワースポットとして知られる霧幻地蔵や子安観音など、魅力的な要素が詰まった場所である。

四季折々の景色を楽しめる霧幻峡の渡しは、観光客から高い評価を得ており、特に川霧が楽しめる期間は6~8月の間である。

川霧のなかを渡し船で!? 幻想的な「廃村ツアー」が人気? 絶景のパワースポットめぐりの魅力とは

 現在、都市開発が進む一方で、地方部の人口は減少を続けています。特に、人口の少ない村は、過疎化やダムの建設などによって廃村に追い込まれている地域も多く、管理者のいなくなった土地は荒廃を続けてしまいます。

 しかし、そんな廃村を郷土資料として残し、観光に活用している場所が福島県に存在します。

 それが、只見川に浮かぶ「霧幻峡」です。手漕ぎ船に乗り、廃村の周辺を周遊するツアー「霧幻峡の渡し」が、観光客から注目を集めています。

 霧幻峡と呼ばれている金山町の旧三更地区は、当時は約10世帯ほどが暮らす小さな集落で、農業や林業等で生計を立てていました。

 しかし、昭和39年(1964年)4月に発生した集落裏側にある山の土砂崩壊により、500mほど下流に集団移転を余儀なくされ、廃村となってしまいます。

 廃村になる前まで、金山町三更地区の住人は、渡し船を利用して対岸の三島町早戸地区へ行き来しており、船は住民にとって生活に必要な「足」でした。

 そんな旧三更地区にとって思い出深い渡し船の観光用に復活させたのが「霧幻峡の渡し」です。

 かつての三更地区の住民が発起人となり2010年にツアーを開始。2019年から金山町観光物産協会が運営しています。

 霧幻峡の渡しは町の観光資源として、また只見川で渡し舟が運航されていた歴史を後世に残すものとして重要な役割となっています。

 霧幻峡の渡しの魅力について、金山町観光協会の担当者は次のように話しました。

「只見川で夏の朝夕に発生する『川霧』を始めとして、情緒ある手漕ぎの渡し舟で四季折々の風光明媚な景色を楽しむことができます」

 また、船の上から旧三更地区に残る古民家を眺めたり、時間が合えば船の上から只見線の列車を撮影することもできるようです。

 川霧を始め、四季に合わせて様々な姿を楽しめる「霧幻峡」。ここには、かつてどのような姿を見せていたのでしょうか。

 廃村には、歴史が刻まれた産業遺跡がいくつか残っています。

 そのひとつ、霧幻峡のシンボルともいえる「霧幻地蔵」は、昭和19年に建立された、小さく可愛らしい印象のお地蔵です。

 また、三更集落の誕生と同時に建てられた子安観音も村の象徴のひとつでした。子宝と安産にゆかりのあるこの観音は、近隣からもたくさんの人々がお参りに訪れて賑わっていたとのこと。

 実は霧幻峡はパワースポットとしても知られており、霧幻地蔵と子安観音に宿る霊力が運気を上げてくれると言われています。

 他にも、昭和28年から採掘が始まり、一時村に活況を与えた玉造硫黄鉱山跡も重要なスポットです。

 ここは高度成長期の硫黄の需要減や輸入の増加で採算が悪化し、7年という短い歴史で閉山されます。閉山以降放置された鉱山採掘穴に水が溜まっていき、それが原因で昭和39年のブナ坂大崩壊が招かれました。

 そのため、この鉱山跡は三更集落の廃村の一途に大きな影響を及ぼしたといえます。

 長い歴史を秘め、自然の雄大な景色とともに趣深い雰囲気を漂わせている霧幻峡一体を巡る旅は、実際に訪れた人たちから高い評価をえています。

 これについて、前出の担当者は次のように話しました。

 「『船の上から只見川の美しい景色をのんびり楽しむことができた』とたくさんの方から大きな反響をいただいています」

※ ※ ※

 春の新緑、夏の川霧、秋の紅葉など、只見川と周囲の山々が織りなす四季折々の景色を堪能することができる霧幻峡の渡しは、4月から11月中旬までの間で運行しています。

 特に6~8月は川霧が出やすいため、霧に包まれた幻想的な風景を望むことができるかもしれません。