年収100万円ちょっとのパートです。扶養から外れて働いています。もし年収200万円まで働けば将来の年金額も2倍になりますか?
調査によると、老後の不安を感じる人は82.2%であり、その主な理由は公的年金だけでは不十分であるという点が挙げられている。
老後生活に対する不安は男性よりも女性のほうが強く、お金に関する不安が特に高い。具体的には公的年金の不十分さや配偶者の死亡による経済的苦しさが挙げられる。
年収が増えると厚生年金の受給額も増えるが、加入期間や平均標準報酬額などによって具体的な金額が決まる。
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」で、老後の不安があるかを聞いたところ、82.2%の人が「不安感あり」と回答しています。
そして、その理由のトップが「公的年金だけでは不十分」という回答で、全体の79.4%を占めています。したがって、公的年金を増やすことは、老後の不安解消の一つとして必要なことでしょう。
本記事では、老後の生活にどのような不安を感じているかを確認し、パートをしている方が年収を増やした場合に、どれくらい年金が増えるのかを解説します。
1.老後生活に対する不安の有無
「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、自分の老後生活に「非常に不安を感じる」と回答した人が17.5%、「不安を感じる」が27.3%、「少し不安を感じる」が37.4%となっており、これらを合計した82.2%の人がなんらかの不安を感じていることが分かります。一方で、15.9%の人が「不安感なし」と回答しています。
性別で見ると、「不安感あり」が男性78.5%・女性85.1%となっています。一方で、「不安感なし」が男性19.3%・女性13.1%女性となっており、男性のほうが6.2ポイント上回っています。
【図表1】老後生活への不安
2.老後生活に対する不安の内容
同調査の「老後生活に対する不安の内容」のベスト10を見ると、図表2のようになっています。
お金に関する不安の内容としては、第1位に「公的年金だけでは不十分」(79.3%)、第4位に「退職金や企業年金だけでは不十分」(31.4%)、第6位に「配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる」(21.3%)など上位に顔を出していることが分かります。
【図表2】老後生活に対する不安の内容 ベスト10
今回のケースでは、いままでの収入が100万円ほどで、厚生年金に加入している場合、仮に収入が倍の200万円に増えたら年金額はどうなるかを見ていきます。
その前に、公的年金の構造を確認します。公的年金は2階建てになっています。すなわち、1階建て部分は国民全員加入の「国民年金」で、2階建て部分は厚生年金です。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間保険料を納めた場合の満額支給額は、令和6年4月時点で、67歳以下の場合は年額81万6000円です。
一方、2階建て部分の厚生年金は、国民年金に上乗せされるもので、給付額は収入と加入期間などによって決まります。具体的には、次の計算式で求めることができます。
厚生年金額=平均標準報酬額×(5.481/1000)×加入期間の月数
月収10万円(平均標準報酬額)で働いていた人が、その倍の月収20万円(平均標準報酬額)に働き方を変えた場合を想定し、その年金額をそれぞれ計算してみます。なお、保険料は10年間納めたこととして計算します。
【月収10万円(平均標準報酬額)の場合】
厚生年金額=10万円×(5.481/1000)×120月=6万5772円
【月収20万円(平均標準報酬額)の場合】
厚生年金額=20万円×(5.481/1000)×120月=13万1544円
したがって、年収が2倍になると、同じ期間保険料を納めた場合には、厚生年金受給額は2倍になります。