1面記事、決める会議は男性ばかり? 社会の多様性反映へ、新旧メディアの挑戦【けいざい百景】

AI要約

新聞・通信社、テレビ業界で女性管理職の登用ペースが緩慢な現状について取材。新聞紙面やニュース番組の編集会議が男性中心で進められることが問題視されている。

海外シンクタンク調査によると、テレビ業界では男性中心の権威像が強調され、女性の出演は限定的。NHK放送文化研究所の調査結果をもとに、テレビ番組全体のジェンダーバランスについて分析。

ニュース番組における出演者の男女比や職種別の出演割合において、男性が優位であることが明らかに。女性の視点や声が取り入れられる機会の不均衡が指摘されている。

1面記事、決める会議は男性ばかり? 社会の多様性反映へ、新旧メディアの挑戦【けいざい百景】

 新聞・通信社、テレビ業界で女性管理職の登用ペースは依然として緩慢なようだ。海外シンクタンクの調査などによると、日本の新聞紙面やニュース番組の構成を決める編集会議が男性ばかりで進められる景色も珍しくないのだという。果たしてそれは、社会の価値観が一段と多様化する時代に合っているのか―女性をはじめとするさまざまな視点を取り入れることで、幅広い読者にニュースを届けようとする新旧メディアの挑戦を取材した。(時事通信経済部 大槻麻莉子)

 テレビが映し出す世界では、中高年の男性が政治、経済分野の権威として登場する一方、女性は母親や通行人ら名のない形で紹介される―。NHK放送文化研究所の調査がそんな実態を浮かび上がらせた。

 調査は2022年6月の第2週にNHK総合やEテレ、民放の計7チャンネルで放送されたバラエティーなどほぼすべての番組と、6月と11月のそれぞれ5日間にNHKと民放の計6局が放送した夜のニュース報道番組延べ60本を対象に実施。「テレビ番組におけるダイバーシティー」としてまとめた。

 それによると、テレビ番組全体の出演者は主に20~30代の女性と30~50代の男性で構成。ニュース報道番組でも男女別の年齢層の傾向は同様で、女性が「番組の進行役」や「リポーター」を担う一方、ニュースに意義付けをする「解説者」の人数は男性が女性の4倍に上った。

 職業・肩書別に見ると、「財界人・経営者・役員」は男性が女性の20倍近い頻度でニュース番組に登場。スポーツ関係者、学識者、医師、マスコミ関係者も男性が5~7倍多く出演した。

 一方、「親・家族」という立場でのみ、女性は男性の2倍の頻度で登場した。市民や通行人、従業員、年金生活者などでも男女差は小さかった。さらに、男性の政治家や学識者、医師の出演割合は、実際の世の中の割合と比べて多かった。これは各業界で取材対象となる幹部層に女性が少ないという現実もあるが、女性の声が取り上げられる機会が少ないことを示している。

 テレビが映し出すジェンダーバランスが社会の実相とは異なる背景について、NHK放送文化研究所の熊谷百合子研究員は、「ニュースの価値判断をする人の属性の偏りも、アウトプットのゆがみにつながっている可能性がある」とみている。