日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは

AI要約

キャンピングカーの主な仕様には、バンコン、キャブコン、バスコン、キャンピングトレーラーの4つがあり、それぞれ特徴がある。

キャンピングカーの製作工程は複雑で、ベース車両の準備から始まり、内装の組み立て、設備の取り付けまで様々な工程がある。

日本のキャンピングカーメーカーは大工仕事を多く取り入れており、高度な技術を用いてスペース効率や快適性を追求している。

日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは

 キャンピングカーとひと口にいっても、その仕様は大きくわけて4つある。ひとつ目は軽バンやハイエースなどのバンタイプのボディをそのまま活かし、内装をキャンピングカーとして仕上げたバンコン(バンコンバージョンの略)。

 これはバンの機動性とキャンピングカーとしての実用性を兼ね備えたもので、価格面でも手頃になることから、キャンピングカー市場でも主流となっている。

 ふたつ目はトラックのボディをキャンピングカーとして架装したキャブコン(キャビンコンバージョンの略)。トラックのキャブとキャンピングカーのボディを一体化したもので、室内の空間が広く、余裕で立てるだけの高さもあるから、キャンピングカー内で長時間過ごすのも快適。たちまち人気のキャンピングカーとなった。バンコンのユーザーが憧れる、日本のキャンピングカーユーザーの理想とも思えるスタイルだ。

 さらに、マイクロバスなどの大きなボディを使って広い室内空間をキャンピングカーにしたバスコンもある。これが3つ目のキャンピングカーだが、いかんせんボディが大きすぎて機動性はかなり低く、走れる道路や駐車スペースなど制約も多い。

 また、キャンピングカーをトレーラーにして、SUVなどで牽引するスタイルもある。これが4つ目の仕様で、日本では少数派だが、キャンピングトレーラーも昨今のブームで増えている。ピックアップトラックの荷台部分に載せて使うキャンピングカー(通称トラックキャンパー)も、トレーラーに近い部類だ。

 キャブコンは広くて快適だが、ハイエースなど日本に合ったベース車両もあることから、日本で主流となっているのはバンコンとキャブコンという訳なのである。キャブコンはトラックがベースといっても、街を走るトラックから荷台を取り去ってキャンピングカーとしてのボディを仕立てる訳ではない。それでは無駄になる部分が多すぎるのだ。

 トラックも特装など特殊な架装をする場合には、荷台などを取り付けないシャシーの状態で架装メーカー(この場合はキャンピングカービルダー)に納入し、架装を仕上げて販売店に納入して登録し、オーナーに納車することになる。ちなみにトヨタはカムロードというキャブコン専用のシャシーを用意したこともあって人気が爆発! 日本のキャンピングカーブームを牽引するきっかけにもなった。

 ビルダーによっても違いはあるが、一般的なキャンピングカーの製作工程を追ってみよう。まずはベース車両が自動車メーカーから納入される。このとき、カムロードなどはシャシーだけの状態だ。重量バランスや剛性、強度などを考慮した上でキャンピングカー内でレイアウトや補強などの構造が決まり、ボディ部分はFRPで型から製造されて組み合わされてボディとなる。

 キャンピングカーを製作するのは、トラックのボディとは比べ物にならないほど複雑な工程がある。トラックなら平ボディを基本に、パネルバンや冷蔵車、冷凍車などの特装車ダンプやコンクリートミキサー車などを選べばいいが、一方のキャンピングカーは、材料の多さや複雑など、かなり高度だ。

 ボディの外枠はFRP製が一般的だが、そこにはドアや窓も取り付けられ、断熱材を貼って冷暖房の効率を高め、防音も施される。電気の配線や上下水道の配管なども収めてから内壁を張り、エアコンやギャレー(流し台)といった設備やダイネット(リビングダイニング的スペース)やベッド、収納などの家具を作り込むのだ。

 各メーカーでさまざまな工夫を凝らすことで、スペース効率や快適性、利便性、デザイン性などを高めて、他社と差別化しているのである。海外ではキャンピングカーメーカーが作業工程を省き効率化できるよう、さまざまな部品を大量生産しているが、日本のキャンピングカーメーカーは、建築技術を利用して発展してきたので大工仕事が多く、その仕上がりの高さも魅力になっている。

 キャンピングカーも普及するにつれて同じベース車両でも、室内の装備や仕上げによって差別化され、価格の幅も広がってきた。今後も高級化はさらに進むことになりそうだ。