運転手足りない、運送業者の倒産相次ぐ…5月は前年比2倍、残業規制が影響し受注不振

AI要約

全国の運送事業者の倒産が5月に46件に上り、前年同月の2倍超に急増した。これは20年間で最多の倒産数であり、主な要因は2024年問題による長時間労働規制強化に伴う人手不足と売り上げの落ち込みである。

倒産の要因として最も多かったのは「受注不振」であり、その他にも「赤字累積」が見られる。小規模事業者が特に影響を受けており、燃料費や人件費の上昇などが倒産につながっている。

運送業界では荷主の価格転嫁に応じない事例も見られ、公正取引委員会が関与している。1~5月の累計倒産数は162件で、リーマン・ショック以来の高水準となっている。

 全国の運送事業者の倒産が5月に46件に上り、前年同月の2倍超に急増したことが、東京商工リサーチの調査でわかった。5月としては、この20年間で最多となった。トラック運転手らの長時間労働の規制強化に伴う「2024年問題」の影響で、4月以降、実質的な人手不足に陥って以前のように仕事を請け負えなくなり、売り上げが落ち込んだ中小零細事業者の倒産が目立つという。

 5月に倒産した企業のうち、負債額1000万円以上の「道路貨物運送業」を集計した。倒産の要因として最も多かったのは、「受注不振」の26件で全体の6割近くに達し、「赤字累積」が8件と続いた。大阪市内の運送会社は「ドライバーが足りず、受注したくても引き受けられない仕事が出てきている」と漏らす。

 従業員数別では、10人未満の倒産が31件と7割近くを占めた。2024年問題に加え、燃料費や人件費の上昇分を運送料金に転嫁できていないことも影響している。運送業界では、仕事を発注する立場を利用して価格転嫁に応じない荷主も多く、公正取引委員会は昨年度、荷主の573事業者に注意喚起した。運送事業者の倒産は1~5月の累計で162件となり、リーマン・ショックの影響が残る10年以来の水準となっている。東京商工リサーチの担当者は「運送業界は中小零細の下請けが多く、今後も倒産が増える可能性がある」と指摘する。