「拡大しないと返済が追いついていかない」2024年問題とコロナ融資返済 観光バス会社の苦悩
3年前、新型コロナの影響で売上がなくなった貸切バス会社と若手社長の取材を追い、コロナ禍を経て復活の兆しを見せる一方、2024年問題が新たな課題となっている。
赤沢泰樹社長は苦境から立ち直り、外国人観光客の増加を受けて業績を回復させているが、2024年問題による労働時間規制が課題となっている。
観光バス業界における新たな課題への対応が求められており、これからの展望が注目される。
3年前、新型コロナの影響で売上がなくなった貸切バス会社と、若手社長を取材しましたが、コロナ禍を経て今どうなっているのか。
その後を追うと回復の兆しの中で2024年問題という新たな壁が立ちはだかっていました。
「倒産を考えるくらい厳しい状況だった」
都留市にある従業員12人のバス事業所 宝観光の社長、赤沢泰樹さん(40)です。
赤沢さんは2019年会社を買い取り社長に就任。
新しいバスをそろえ「ここから」と思った矢先、コロナ禍に突入しました。
赤沢泰樹社長:(2021年6月)
「予約が一気にゼロに近くなって、問い合わせもなく電話を受ければキャンセルだけ」
運行表は真っ白、売上はゼロの状態でした。
取材から3年。コロナ禍を経て会社は…。
バス会社 宝観光 赤沢泰樹社長:
「当時はバスが全車停まっていましたが、今はバスがほとんど動いている状況」
この1年でようやく本業のバス事業が軌道に乗り出したといいます。
赤沢泰樹社長:
「急激に回復したのは外国人観光客」
富士山目当てに訪れる外国人が増えると考え、外国人ツアー客の受け入れを始めました。
かつて真っ白だった運行表。今は予約がしっかり入っています。
しかし新たな心配の種が生まれていました。
■「2024年問題」
時間外労働などの規制が強化されたいわゆる「2024年問題」です。
2024年4月からバス運転手の1日の拘束時間は1時間短縮され、最大15時間になりました。
赤沢泰樹社長:
「15時間ですが、バス会社としては出発前点検、到着後に清掃点検がありますので、それで前後に時間とっています。お客様のもとへ着くのが車庫から1時間、お客さんをおろしてから1時間となると、お客さんは出発してから11時間以内に戻ってこないといけない。その管理が非常に大変」
このため1日の観光時間が短くなるケースも。
赤沢泰樹社長:
「今まで朝出発して夕食までバスがあったが、夕食をカットしていただいて帰りの方向に向かわないといけない。スケジュールを一つ削ってもらわないといけないことが発生している」