銀行は世の中の役に立っているのか…元メガバンカーの経済評論家が解説

AI要約

銀行がなかったら、給料日には現金を持ち帰る必要があり、リスクが高まること。

さらに、送金や送金手続きが煩雑になり、時間と手間がかかること。

銀行が貸し借りのマッチングを円滑に行い、取引をスムーズに進める役割を果たしていること。

銀行は世の中の役に立っているのか…元メガバンカーの経済評論家が解説

銀行(信用金庫等を含む、以下同様)が世の中の役に立っているのかを知るために、本稿は「銀行がなかったら何が困るか」を考えてみることにしましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

もし銀行がなかったら、給料日には、多額の現金を持ち帰ることになります。そうなれば、タンス預金は盗難や火災のリスクがありますから、銀行に預かってもらえるのは安心ですね。しかも銀行は「保管料を請求する」のではなく、わずかですが金利を払ってくれるわけです。

もし銀行がなかったら、送金のたびに現金書留を使う必要があります。手間も時間もかかりますし、金額が大きい場合にはリスクも大きいですから、銀行が送金を取り扱ってくれるのは助かります。

海外向けの送金の場合には、どこかでドルを調達して国際郵便で送ることになりますが、これはさらに手間や時間がかかり、リスクも大きいですね。

銀行の主な仕事は、資金に余裕がある人(たとえば給料日のサラリーマン)から預金を預かって、資金を必要としている企業等に貸出をすることです。預金者に低い金利を支払って借り手から高い金利を受け取って、差額でコストをまかなって利益を出すのです。

銀行がないと、誰が資金に余裕があり、誰が資金を借りたがっているのか…という情報をお互いが得るだけでも大変です。たとえばひとつの広場に貸し手と借り手が集まるとしても、誰が誰に貸すのかというマッチングの問題がありますし、それ以上に問題なのは貸し手にとって「借り手が借金を返済できるか」の調査です。それが確信できないと、怖くて貸せませんから。

その点、「余裕資金は銀行に預金すればいいし、金を借りたければ銀行に頼めばいい」というなら、マッチングの問題も生じませんし、「借り手に返済能力があるか」を調べるプロである銀行が間に入ることで、取引ははるかにスムーズに進むでしょう。

巨大企業が100億円を借りるとして、100万人のサラリーマンから1万円ずつ借りるのは大変です。100万人のサラリーマンがそれぞれ借り手の返済能力を調べるのも大変ですし、契約書作りに慣れていない100万人のサラリーマンが契約を締結する手間も大変です。

その点、銀行が間に入ることで、契約書作りも借り手の返済能力調べも遥かに楽にできるでしょう。