「ぐったりやくも」とも言われた特急、最後の雄姿を撮りに集まった人々「揺れさえも楽しかった」

AI要約

JR西日本の特急「やくも」381系のラストランイベントが行われ、全国の鉄道ファンが最後の雄姿を写真に収めた。

381系は40年以上にわたる活躍を経て、歴代車両をデザインした記念乗車証を配布し、カラーバリエーションを彩ってきた。

最終運行では新色の車両が登場し、今後もこの色の381系を臨時で運行する可能性がある。

 JR西日本の特急「やくも」381系のラストランイベントが行われた14日、鳥取県の米子駅に集まった全国の鉄道ファンが最後の雄姿を写真に収めた。(東大貴)

 やくもの到着を待つホームは朝から、大勢の人であふれ返った。向かいのホームからカメラを構えるファンや、ホーム上を横断する南北自由通路の窓から様子を見守る市民もいた。改札前には、駅員たちが381系への感謝をつづったボードが掲げられた。「お客様の笑顔を乗せて走り続けてくれた」などと40年以上にわたる活躍をたたえた。

 381系はクリームにえんじの帯が入る「国鉄色」や緑色の帯の「緑やくも色」などかつてのカラーを復刻し、沿線を彩ってきた。イベントでは、歴代車両をデザインした記念乗車証を約450人に配った。

 381系は山陰と山陽を結ぶ電車の要であり続けた一方、乗り物酔いする乗客が多く「ぐったりやくも」ともささやかれた。岡山市北区の会社員男性(54)は「車内を移動できないほど揺れることもあった。子どもの頃からなじみがあり、ラストランは残念」と名残惜しそうに語った。

 全国のJR全線を乗っているという神奈川県二宮町の会社員男性(45)は「山間部を縫って走るやくもは、車窓からの迫力ある景色が醍醐(だいご)味。揺れさえも楽しかった」と話した。

 15日の最終運行は、車体が赤とホワイトグレーで、前後の座席間隔を広げた「ゆったりやくも色」。今後も繁忙期に限り、この色の381系を臨時で運行する可能性がある。