JFEスチール、UO鋼管で水素輸送用ラインパイプ開発へ。海底使用想定・厚肉高強度材活用

AI要約

JFEスチールは、高圧水素輸送用ラインパイプの開発事業で、新たにUO鋼管も研究対象に加えることを発表。

欧米メジャーとの共同助成事業で、海底パイプラインを想定した実用化研究を展開し、24年度も採択された。

水素ラインパイプの需要拡大に注目が集まる中、水素脆性への耐性を高圧化に適した鋼材で探る取り組みを進める。

 JFEスチールは13日、複数の資源メジャーと共同で進める高圧水素輸送用ラインパイプの開発事業で、研究対象とする鋼管品種を広げると発表した。従来の電縫鋼管だけでなく、新たに厚肉高強度のUO鋼管(大径鋼管)も加え、海底パイプラインを想定した実用化研究に取り組む。

 開発は、欧米メジャーなどが海洋開発で協業する企業連合「ディープスター」と日本財団の共同助成事業に採択されており、23年度はJFEの既存の電縫鋼管「マイティーシーム」を用いて研究してきた。この1年間の成果が認められ、24年度も採択されたことから対象をUO鋼管にも広げた。

 6月からスチール研究所の千葉地区(千葉市)でUO鋼管の開発に入った。米石油大手のエクソンモービルとシェブロン、仏エネルギー大手トタルエナジーズの3社と組み、24年5月まで取り組む。

 鋼管から切り出した試験片を高圧水素環境下にさらす試験などを通じ各種データを収集。開発後はエクソンなどが工業規格の認証機関に働きかけ、安全基準や品質調査のための材料特性評価法の確立にデータを生かす。

 24年度の研究開発費は約4800万円で、うち約3800万円を同財団が補助する。

 燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素は脱炭素社会の実現につながると注目されており、水素ラインパイプの需要拡大が見込まれる。一方、水素で鋼材がもろくなる「水素脆性」への耐性が課題で、高圧化に適する直径や厚さを探っていく。