世界の石油、2030年には「大幅な供給過剰」の予測…OPECプラスが機能しなくなる可能性も

AI要約

国際エネルギー機関(IEA)は2030年までの石油の需給見通しをまとめ、需要の伸びは鈍化する中、30年には石油は大幅な供給過剰に陥ると予測している。

IEAは、世界の石油需要は29年にピークを迎える一方、供給は増え続け、先進国の需要は落ち込む見通しを示している。

増産は北米や南米が中心で、OPECプラスの戦略が機能しなくなる可能性があると指摘している。

 国際エネルギー機関(IEA)は12日、2030年までの石油の需給見通しをまとめた。生産能力が拡大し続けるなか、需要の伸びは鈍化するとみて、30年には石油は大幅な供給過剰に陥ると予測している。

 IEAは、世界の石油需要は29年にピークを迎え、30年には日量1億540万バレルとなると予測する。中国やインドなど新興国の需要は拡大するが、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー普及の影響で、先進国の需要は1990年代初頭の水準まで落ち込むとみている。

 一方、供給は2023年時点の日量1億220万バレルから、30年には日量1億1380万バレルまで増える。増産の多くは北米や南米で、生産調整で価格を下支えしている石油輸出国機構(OPEC)プラスの戦略が機能しなくなる可能性があると指摘している。(ロンドン支局 中西梓)