メキシコ次期大統領、歴史的ペソ安に直面-政権運営に暗い影

AI要約

メキシコの次期大統領であるクラウディア・シェインバウム氏は、ペソの急落や司法改革への懸念に直面している。投資家や企業経営者の期待と懸念の間で板挟みとなっており、即席の記者会見を開いて対応に追われている。

シェインバウム氏は、ロペスオブラドール大統領の計画との距離を示す必要があり、投資家たちは改革の過激さを警戒している。彼女がどのように改革を進め、国家の安定を維持するのか注目されている。

投資家や市場は、シェインバウム氏が次期大統領として何を成し遂げるかに不安を感じており、彼女が国家のためのプロジェクトと市場の期待をどのように調和させるかが焦点となっている。

メキシコ次期大統領、歴史的ペソ安に直面-政権運営に暗い影

(ブルームバーグ): メキシコのクラウディア・シェインバウム次期大統領は、世界一のパフォーマンスを誇る通貨を継承するはずだったが、代わりに歴史的なペソ安に直面している。10月の就任直後の政権運営に暗い影を落としそうだ。

シェインバウム氏は11日、大統領・議会選挙での与党の地滑り的勝利が司法の独立性を損ない、一連の憲法改正を迅速に進める措置に道を開くとの投資家の懸念への対応に追われた。記者会見でシェインバウム氏は、ペソが下げ幅を拡大する中でも、経済は安定していると述べ、メキシコと米国の貿易関係をアピールした。ペソは6月2日の投開票以来、8%余り下落しており、この期間では世界で最悪のパフォーマンス。

シェインバウム氏は「投資家が心配する理由はない」と述べた上で、「しかし同時に、メキシコ国民のためのアジェンダと国家のためのプロジェクトを続ける必要がある」と強調した。

次期大統領は、選挙勝利後の改革への期待感と、米国の近くの生産拠点を置く「ニアショアリング」による製造業ブームの中で経済成長を促進する貴重な機会を無駄にしかねないと懸念する投資家や企業経営者との間で板挟みの状態にある。同氏は自身の計画を巡る懸念の払拭(ふっしょく)を目指し、10日にも即席の記者会見を開いた。

投資家はシェインバウム氏の立候補を支持したメンターで10月1日に任期満了となるロペスオブラドール大統領が打ち出した提案と明確に距離が置かれることを望んでいる。選出された判事を最高裁判所に配置するロペスオブラドール大統領の計画について、調査を実施して対話を促進することをシェインバウム氏は約束したが、決して否定はしなかった。

ロペスオブラドール大統領は、司法が腐敗しているため改革が必要だと主張。新議員が就任し、自身が退任する前の9月にこの措置の議会可決を望んでいる。

ティー・ロウ・プライスの新興市場ストラテジスト、アーロン・ギフォード氏はシェインバウム氏について、「ロペスオブラドール大統領に恩義を感じており、その見返りを示す必要がある」と指摘。「投資家が聞きたいのは、シェインバウム氏がどのように改革と一線を画し、物議を醸すような過激な改革が通らないようにするのかだ。私はそうするとは思わない」と述べた。