〔東京外為〕ドル、157円前後=良好な米雇用統計受け上伸(10日午後5時)

AI要約

10日の東京外国為替市場では、市場予想を上回る米雇用統計によりドルは上昇し、一時157円10銭近くまで急伸した。

日本では国内輸入企業のドル買いや海外勢の買いが入り、157円20銭付近まで値を上げたが、ドルは上値重く推移し、157円を割り込むと買いが入る底堅い展開となった。

欧州連合の議会選挙や日経平均株価の大幅高などの要因から、ユーロは対円・対ドルで下落し、ドルはリスク選好の要因もあり円安に振れた。

 10日の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、市場予想を上回る良好な米雇用統計を受け、1ドル=157円前後に上伸した。午後5時現在は、157円00~00銭と前週末(午後5時、155円42~42銭)比1円58銭の大幅ドル高・円安。

 前週末に米国で発表された5月の雇用統計が強く、利下げ観測が後退し、長期金利が上昇したのを受け、海外市場のドル円は一時157円10銭近くまで急伸した。一巡後は利益確定のドル売り・円買いも入り、156円台後半で推移。週明けの東京市場もこの流れを引き継ぎ、156円80銭台でスタートした。

 午前は国内輸入企業のドル買い・円売りがやや優勢となり、正午すぎには「海外勢の仕掛け的な買いが入った」(外為仲介業者)といい、157円20銭付近まで値を上げた。その後は上値重く推移したが、157円を割り込むと買いが入る底堅い展開だった。

 10日の東京時間はオーストラリアや中国、香港、台湾が休日でプレーヤーが限られ、全般はレンジ相場になった。ただ、欧州連合(EU)欧州議会選で、フランスで極右野党「国民連合」が大勝し、中道与党「再生」が敗北。全体でも極右・右派が勢力を拡大する見通しになり、欧州の政局不安からユーロ売り・ドル買いが進んだ影響で、ドル高・円安に振れたとみられる。国内では日経平均株価が大幅高となったことも、リスク選好のドル買い・円売りを促したもようだ。

 もっとも、今週はFOMCや日銀金融政策決定会合が開催されるほか、5月の米CPIも発表予定で、「現時点で一方的な展開にはなりにくい」(FX業者)という。

 ユーロは対円、対ドルで下落。対ドルで約1カ月ぶりの安値を付けた。午後5時現在は、1ユーロ=169円00~01銭(前週末午後5時、169円29~30銭)、対ドルでは1.0764~0765ドル(同1.0892~0893ドル)。