古着のカバーオールをさらに深堀り。ヴィンテージで狙い目のブランドとは?──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」

AI要約

藤原裕による報告では、カバーオールの人気が古着市場で急上昇していることが紹介されている。特にデニムのカバーオールが注目されており、Tバックと比較してもリーズナブルな価格で手に入る可能性が高いという。また、ヴィンテージ市場においてカバーオールの需要が急増しており、探すのが困難であることが語られている。

藤原裕が推薦するカバーオールの中には、USアーミーのM-35デニムプルオーバーやリーのS91-J、リー81-J、ザ ビッグフェイバリッツ、ビッグダムなどが挙げられており、それぞれのモデルの魅力やポイントが述べられている。

藤原裕はヴィンテージショップ「ベルベルジン」のディレクターであり、デニムマイスターとして活躍している。ヴィンテージ市場の動向や自身のオススメのカバーオールについて熱く語る一方、サントリーのハイボールブームにも興味を持っており、記事の最後では角瓶に関するエピソードも明かされている。

古着のカバーオールをさらに深堀り。ヴィンテージで狙い目のブランドとは?──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」

カバーオール人気が古着市場でうなぎのぼりだ。藤原裕に狙い目を教えてもらった。

こんにちは、藤原裕です。リーバイスを筆頭に、Gジャン人気は相変わらずすごいですね。特にTバック、つまりリーバイス506EXXは、私の周囲でも探している人が後を絶ちません。“Tバック待ち”な方に、私がおすすめしているのがデニムのカバーオールです。前回紹介したダックやヒッコリーのモデルも人気ですが、やはりカバーオールといえばデニム地が大本命。いま最も人気が高いTバックと比較すると、年代やコンディション、サイズ感がほぼ同じものでも価格はリーズナブルになりますし、1900年代初頭の古い個体でも、Tバックほどの値段はつきません──今は。そう、“今は”なんです。今後はわかりません。というのも、最近はカバーオールを探している人の数が凄まじく、アメリカでもまったく見つかりません。ベルベルジンでも買付けるのに本当に苦労しています。今回紹介する私物の中には2年前に買ったものもありますが、すでに当時の倍以上の値段がついています。夏が終わってから「よーし、秋冬に着るものでも探そうかな」って感じでは遅すぎます。それがヴィンテージ市場の“今”なんです……。

■M-35 USアーミー デニムプルオーバー

軍ものを代表するヴィンテージデニムのひとつ。「USネイビーのショールカラージャケットなどと並び、ミリタリー系の中で人気の高いデニムアウターのひとつです。30年代のものなので、なかなかコンディションのよいものが見つからないなか、これは奇跡的に購入できました。サイズは“M”ですが、かなり大きめです」

■リー S91-J

大戦期に製造されたもの。「大戦モデルは下に横並びになった2ポケットが主流ですが、ふたつのポケットが、上下で斜めに配置されたデザインは、個人的にはリーとカーハートしか見たことがありません。ボタンに刻印された「Lee」の「L」の下部分が長い”ロングL”となっている大粒のボタンや、フロントが4ボタンになっている作りがポイントです」

■リー81-J

リーの人気モデルである91-Jのブランケット付きバージョン。「ハウスマークタグが、直接襟の内側部分に付いていることから”襟ハウスマークタグ”と呼ばれるもので、40年代後半~50年代初期のものだと思われます。インナーにあしらった赤と黒と茶のブランケットカラーも、この年代ならでは。ちなみにこちらは2年前に横浜のアンカーヴィンテージさんで購入しました」

■ザ ビッグフェイバリッツ

首もとには長めのチンストラップを備え、ボタンはチェンジ仕様という、通称”チンチェン”と呼ばれる人気ディテールがポイントの個体。「30年代製のものです。マイナーなブランドですが、デカボタンでメリハリの効いた色落ちも気に入っています。ちなみにこのブランドは、おそらくヴィンテージ業界で人気の高いブランド、N&Wと同じ工場で製造していたと思われます」

■ビッグダム

「フロントポケットが欠損した、いわゆる”ボロ”や”雰囲気系”と呼ばれるものです。チェンジボタンではないですが、シンプルでいいと思います。左胸には”ガチャポケ”と呼ばれる変形ポケットで、形が珍しいのがポイントです。ちなみに、先ほど紹介したブランドが、ザ フェイバリッツであったように、ワークウェアはなぜか“ビッグ”がつくブランドが多いんです」

■藤原裕(ふじはら・ゆたか)

ベルベルジン・ディレクター

原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」顔役。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。最近は、韓国を中心にハイボールブームが巻き起こっており、サントリーの角瓶が品薄になっていることに気を揉んでいる。写真は、じつはまだ業務用のデカ角ではなく、角瓶を大量に買えるお店があるとこっそり伝えたところ、「え、まじすか」と、爆買いをもくろむ角ユタカ。なんだ、角いって? 四角いユタカが、まぁるくのあれか?