「いきなり!」凋落の一方で規模拡大の「やっぱりステーキ」 明暗分かれた納得の理由

AI要約

沖縄発祥のステーキチェーン「やっぱりステーキ」が全国展開し注目を集めている。

やっぱりステーキはいきなり!ステーキの凋落を背景に成長し、高回転率で運営するステーキハウスとして知られている。

2015年に1号店をオープンして以来、メニューの豊富さやお得な価格設定などが客を惹きつけている。

「いきなり!」凋落の一方で規模拡大の「やっぱりステーキ」 明暗分かれた納得の理由

 沖縄発祥のステーキチェーン「やっぱりステーキ」が存在感を増している。2015年に那覇市で1号店をオープンしてから店舗数を増やし続け、現在では北海道から九州まで約90店舗を展開する。コロナ禍真っ只中の2020年6月に東京進出を果たした際にはメディアで取り上げられ、大きく話題になったことも記憶に新しい。

 やっぱりステーキが規模を拡大したのは、同業態「いきなり!ステーキ」が縮小した時期と重なっており、今回は競合の凋落をよそに拡大した理由を分析していく。

 やっぱりステーキの店内自体は、いきなり!ステーキとどこか似ている。テーブル席とカウンター席があるが、ゆっくりと食事するステーキハウスというよりは、高回転率で運営する店舗の印象だ。

 注文方式は、食券機またはタブレットを採用している。メニューはステーキ類がメインであり、看板商品の「やっぱりステーキ」(ミスジステーキ)は120グラムで1390円、180グラムで1980円だ。

 他にも「チキンステーキ」や「赤身ステーキ」「ヒレステーキ」などがあり、選択できるグラム数はメニューによって異なる。各メニューともサラダ・スープ・ご飯の食べ放題が含まれているため、1500円ほどで満腹感を得られるのが特徴だろう。開業当初のコンセプトも「1000円でお腹いっぱい、毎日でも食べられる沖縄ステーキ食堂」だった。

 肉類を追加したい客向けには“替え肉”を提供する。100グラム前後の肉を追加できるおかわりシステムであり、やっぱりステーキの替え肉であれば90グラム850円、ロースステーキ替え肉は100グラムで800円だ。替え肉は最初に注文した料理に関係なく注文できる。例えば、やっぱりステーキにチキンステーキの替え肉も付けられる。複数の肉を楽しみたい客にはうってつけのシステムといえる。

 やっぱりステーキは、那覇市に本社を置くディーズプランニングが運営する。同社は個人経営の沖縄そば店として2013年に開業し、2015年2月にやっぱりステーキの1号店を開店した。当時はいきなり!ステーキが知名度と店舗数を伸ばしていた時期だが、同チェーンが沖縄に進出したのは4月であり、開業はやっぱりステーキの方が2カ月早い。

 現在はいきなり!ステーキが沖縄から撤退している一方、やっぱりステーキは2023年12月時点で24店舗を展開する。店名の由来について、創業者は「沖縄の締めはやっぱりステーキ」という文化に由来すると語っているが、いきなり!ステーキのスタイルに着想を得ている可能性は多分にあるだろう。

 2016年に現社名で法人化した後、2017年にはフランチャイズ(FC)1号店として石垣店をオープン、また、県外初の店舗を大分に構えた。2018年には北海道・宮城・岐阜・福岡・鹿児島、2019年には静岡・愛知・大阪・三重・山口に進出。そしてコロナ禍の2020年6月に、吉祥寺で都内1号店を開店した。

 以前からメディアで取り上げられていたが、吉祥寺店のオープンは特に注目され、全国的な知名度も大きく向上した。メディアへの露出により、仙台など一部店舗の売り上げは倍になったという。店舗数の推移を見ると、都内進出時点で51店舗だったのが、2021年8月に75店舗となり、2022年10月時点では90店舗まで成長した。その後は横ばいに推移しており、非上場のため正確な数字は公表していないが、半数以上がFC店のようだ。