キャラメルコーン「袋の底」に潜む、昭和ベンチャーのブレークスルー

AI要約

東ハトは1952年に創業し、長寿商品で知られるお菓子メーカー。2003年に倒産し、2006年から山崎製パンの子会社になっている。

キャラメルコーンの誕生秘話や成功の要因、塩味ピーナッツの利用法、そして決算情報について紹介。

昭和のベンチャー企業としての東ハトの奮闘や新たな事業展開に興味深いポイントが多い。

キャラメルコーン「袋の底」に潜む、昭和ベンチャーのブレークスルー

 「キャラメルコーン」「ポテコ」「オールレーズン」などのロングセラー商品で知られるお菓子メーカー、東ハト(東京都豊島区)の創業は1952年。2003年に倒産を経験し、2006年からは山崎製パンの子会社になっています。

 創業当初の社名は「東京製菓」でしたが、同名の企業が多数存在したため、初代社長が好きだった鳩を冠して「鳩印東京製菓」のブランドで営業を行っていたそうです。すると、問屋が電報発注の際に文字数料金節約のために「ハトトウ」「トウハト」の略称で注文するようになり、それを採用したのが現社名の由来です。

 CMソング「トーハト、キャラメルコ~ン♪」を聞くと懐かしい気分になりますが、看板商品の「キャラメルコーン」の誕生は1971年。当時のスナック菓子は塩味が主流でしたが、キャラメルコーンは口当たりの良い甘い味が特徴です。発売当初から大反響を呼び、あっという間に大ヒット商品となりました。

 ところで、キャラメルコーンといえば、食べていると袋の底の方に、少し塩味の効いたローストピーナッツが出てきます(今は入ってないものもあります)。これが入っている理由をご存じでしょうか。

 キャラメルコーンを開発するにあたって、2つの課題が浮上していました。1つは甘すぎて飽きること、もう1つが夏場にキャラメルが溶けて中身が固まってしまうことでした。

 研究を重ねた結果、キャラメルコーンに微量の塩をふりかけることで、それらを同時に解消できました。しかし、新たな課題が待っていました。というのも、微量の塩を均一にふりかけるのは高度な技術で、当時の工場の機械では対応が困難でした。そこで編み出したのは、直接塩をふりかけずに塩のついたローストピーナッツを一定量混ぜておくという方法です。

 ですが、ここでも新たな課題が立ちはだかります。それは、開封されたタイミングでその塩分が袋の中で均一になっているにはどうすればよいのか? ということでした。

 ひねり出した対策は、工場でキャラメルコーンを袋詰めする際に、一番上に塩がかかったローストピーナッツを載せて置くというもの。これにより箱詰めや輸送中、店舗での陳列の際、ローストピーナッツが徐々に下に落ちて、その過程で自然にキャラメルコーン全体に塩がまぶされていき、文字通りの良い「塩梅(あんばい)」になっているという具合です。

 キャラメルコーンのピーナッツには、そんな熱くて真剣だけど手触り感のある、昭和のベンチャー企業の奮闘がありました。

 東ハトが4月10日に官報に掲載した2023年12月期(23年1~23年12月)決算公告によると、売上高は266億7200万円(前年同期は246億5400万円)、純利益は11億2000万円(同8億2200万円)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は105億6200万円(同95億7400万円)でした。

新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し、全国160万社の有力企業データベースを完全無料・ログイン不要で利用できる、企業リスト作成サービス「FUMA」を運営中。

記事中の、東ハトにおける過去の決算情報や企業概要は「FUMA」でご確認いただけます。