イーライリリーの主力糖尿病薬、生産能力拡大の投資で安定供給へ

AI要約

イーライリリーが日本で肥満症と糖尿病の治療薬の生産能力を拡大するために投資を行い、マンジャロの出荷制限を解除した。

肥満症治療薬の需要が高まり、競合他社も日本市場での承認を目指している状況で、2030年までに市場規模が800億ドルに成長すると予測されている。

イーライリリーは日本の工場設備を拡大し、チルゼパチドの製造施設にも投資して供給不足に対処している。

イーライリリーの主力糖尿病薬、生産能力拡大の投資で安定供給へ

(ブルームバーグ): 米イーライリリーの肥満症と糖尿病の治療に使われる薬の生産能力拡大に向けた多額の投資が、日本でも実を結び始めている。このほど同社は日本で主力の糖尿病治療薬「マンジャロ」の出荷制限を解除した。

同社は供給不足から、昨年日本でのマンジャロの出荷を制限せざるを得なかった。米国では「ゼップバウンド」という名前で肥満症治療薬としても承認されており、ニーズが高まっている。イーライリリーの日本法人社長のシモーネ・トムセン氏はブルームバーグテレビジョンの取材に対して、2020年以降に総額約180億ドル(約2.8兆円)を投資し、製造能力を着実に増強した結果、供給不足は緩和されつつあると話した。

イーライリリーは日本でも、肥満症治療薬としての承認取得を目指している。デンマークの製薬会社のノボ・ノルディスクの肥満症治療薬「ウゴービ」はすでに日本でも承認を得ている。

ゼップバウンドやウゴービの登場で、肥満症治療薬のニーズは高まっている。ブルームバーグ・インテリジェンスは、2030年までに800億ドル市場に成長すると予測する。

イーライリリーは70億円を投じて兵庫県内の工場設備を拡大している。「今年中には拡張工事を完了させ、来年には生産を開始する予定だ」とトムセン氏は話す。

同社は、長引く供給不足に対処するため、米インディアナ州にマンジャロの有効成分であるチルゼパチドを製造する施設に53億ドルを投資する。

(c)2024 Bloomberg L.P.