福岡・油山にスノーピークの新たな宿泊施設が誕生──「Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA」

AI要約

2024年4月18日、福岡県の油山に位置する複合体験型アウトドア施設「ABURAYAMA FUKUOKA」内に、スノーピークの新たな宿泊施設がオープンした。

ABURAYAMA FUKUOKAは、山頂約600mの油山の中腹あたり、標高約200m付近に位置している。面積は約140haで、敷地内にはキャンプ場、アスレチック、農場、ワークスペースなど多くのアクティビティを備える。今回、宿泊した「Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA」はその西端にオープンした。

YAKEI SUITEの客室は、「VILLA(ヴィラ)」「COTTAGE(コテージ)」「TENT(テント)」の3種類。“自然に還るラグジュアリーなアウトドア体験”をテーマに、それぞれが内と外の境界をなくすよう設計された。

YAKEI SUITEは室内で楽しむフレンチ料理や夜景、アウトドア体験との融合が特徴的。テント宿泊では、自然の音や風を堪能しながらも快適な空間が提供される。ユニークな“キャンプ飯”体験も楽しめる。

宿泊施設からは福岡市内の夜景が眺望でき、焚火ラウンジでは特製カクテルや地元ビールを楽しむことができる。

記事は、アウトドア体験、ラグジュアリーホスピタリティ、自然との調和、地元グルメ、福岡の観光地などのカテゴリに該当する。

福岡・油山にスノーピークの新たな宿泊施設が誕生──「Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA」

2024年4月18日、福岡県の油山に位置する複合体験型アウトドア施設「ABURAYAMA FUKUOKA」内に、スノーピークの新たな宿泊施設がオープンした。試泊記をお届けする。

東京が早めの夏日を観測した4月半ば。福岡には、雨が降っていた。目的地の「ABURAYAMA FUKUOKA」は、福岡空港からクルマで30分ほどの距離。現地に到着するころには、雨粒が地面から跳ねて足にかかるほどの本降りになっていた。そのうえ、まわりの木々がたわむ強風も吹き付けている。雨風を避けるように受付棟へ駆け込むと、「大変でしたね」と笑顔のスタッフが出迎えた。ウェルカムドリンクとして供されたうきは市生産のりんごジュースの甘さが、気ぜわしい心をなだめてくれた。

ABURAYAMA FUKUOKAは、山頂約600mの油山の中腹あたり、標高約200m付近に位置している。面積は約140haで、敷地内には福岡市の3分の1にあたる森林がひろがり、キャンプ場、アスレチック、農場、ワークスペースなど多くのアクティビティを備える。今回、宿泊した「Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA」はその西端にオープンした。

ABURAYAMA FUKUOKAは、福岡市の公募事業によって「油山市民の森」と「油山牧場」のふたつの公共施設を、九州旅客鉄道を代表とする企業グループが2023年4月から段階的にリニューアルオープン。2024年4月18日に、YAKEI SUITEの開業を目玉としてついにグランドオープンを果たした、というのが簡単ないきさつで、スノーピークのラグジュアリーラインの拠点としては日本3カ所目となる。

■アウトドアと融合したフレンチ

YAKEI SUITEの客室は、「VILLA(ヴィラ)」「COTTAGE(コテージ)」「TENT(テント)」の3種類。“自然に還るラグジュアリーなアウトドア体験”をテーマに、それぞれが内と外の境界をなくすよう設計された。

今回、宿泊したTENTは施設内に全10室ある。耐風性に優れ、屋外常設で数年程度の使用が可能な特別仕様の宿泊用テントを、スノーピークがYAKEI SUITEのために開発した。

洞窟のような形状のテントの広さは約75平米。入り口のスリッパに履き替えて中に入るとリビングダイニングスペースがあり、コーヒーセットや歯ブラシなどのアメニティにくわえ、金庫や冷蔵庫も完備している。さらに奥に進むと、最大6名まで宿泊可能なベッドルームがあり、コンセント付きのベッドサイドテーブルも置かれている。インルームの電話は無いが、フロント直通の番号に自分の携帯から電話をかければ、23時まで対応可能なルームサービスも利用できる。

キャンプ体験に近づけることを考慮して設計されたテントは、自然の風や音を幕一枚越しに堪能することができるが、いわゆるテント泊とは異なる雰囲気。アウトドア素人の筆者も抵抗を感じることがない。

この施設で特筆すべきことは夕食だろう。『ミシュランガイド フランス』で一つ星を獲得した「sola」の吉武広樹シェフが監修した新たな“キャンプ飯”は、他にはないユニークな体験ができる。

事前に指定した希望の食事時間になると、スタッフがやってくる。スタイルはルームサービス、つまり部屋食のみだ。前後半のコース形式で、前半は、リエットや、季節の野菜と自家製チーズを使用したアミューズ、車海老の薪焼きや糸島産のアスパラを使用したオードブルなど、地産の食材を使用したフレンチが並ぶ。対して後半は、部屋に備え付けられたアウトドア用のキッチンツールを使用し、ゲストが最後のひと工程を仕上げるスタイルに変わる。たとえば、部屋備えつけのグリルバーナー「雪峰苑」で季節野菜のポトフを好みの温度にしたり、メインディッシュの経産牛のロース肉も自らの手で焼く。慣れない鉄板の扱いに苦労しながら、ああでもない、こうでもないと旅の仲間とともにした調理体験は、思いがけずいい思い出となった。

食事を終えると雨がやんでいた。時間は20時半を過ぎたあたりだ。TENTから顔をだすと、目の前に福岡市内の夜景が広がっていた。星空と市街地の灯りに航空機のストロボライトの点滅が吸い込まれていく様は、空港や福岡中心市街地から程よい距離にある立地によるもので、唯一無二だろう。

見渡すと、宿泊施設から少し離れた小高い丘に「焚火ラウンジ」が設営されていた。毎晩19時半から22時半の間だけ姿をあらわすバーラウンジで、福岡市内の夜景を見渡せる絶景のロケーションにある。試泊日は強風が続いていたので、設営するかギリギリまで悩んだが、「分刻みの風予報チェックで設営することにしました!」とスタッフが満面の笑みで教えてくれた。

バーでは、焚き火や夜景をイメージしたオリジナルカクテルやモクテルのほか、福岡のクラフトビール「ブルーマスター」や福岡に蒸留所を置く篠崎の「朝倉」などを提供している。お酒を片手に、設置された焚き火の熱を感じつつパチパチという音を聞きながら夜景をのぞむのは、至福の時間だった。

■雨ニモマケズ風ニモマケズ

翌朝はスッキリと目覚めた。試泊日のように雨風が強いとき、いわゆるテントは、バタバタと風に煽られて今にも吹き飛びそうな不安にかられるものだが、このテントはどっしりと動じず、夜中じゅう風の音も気にならなかったのでぐっすりと眠った。

外に出ると、前日の天気がウソのような快晴だった。昨晩、焚火ラウンジがあった丘で朝食をとる。あらためて福岡市内をのぞむと、上空一面を雲海がおおっていて、なんとも神秘的な景色が広がっていることに気づいた。大空の下、鳥のさえずりや牛の鳴き声をBGMに雲海が晴れていく様子を眺めながらの食事は、穏やかな時間だ。

自然は豊かさに魅力があるいっぽうで、時折シリアスな場面にも出くわすことがある。今回の試泊は、そのふたつを五感で体験した1泊2日だった。天候が荒れるだび、記者会見の会場が変更になって関係者に説明をしたり、焚き火ラウンジが設営できるかギリギリまで検討をしたりと、しゃにむに奮闘するスタッフがいたのが印象的だった。

JR九州の代表取締役社長の古宮洋二は、記者会見で力強く述べた。

「天候に左右されてしまうことがある施設ですが、雨ニモマケズ風ニモマケズ、九州は皆で一丸となってがんばります」

九州の玄関口に、新たなシンボルが誕生した。

■Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA

住所:福岡県福岡市南区柏原710-2 ABURAYAMA FUKUOKA 内

電話:092-235-1827

URL:https://www.aburayama-fukuoka.com/yakeisuite/