1泊約8万円以上の「ラグジュアリー旅行」市場を支える意外な人々

AI要約

マッキンゼーが発表した新たな報告書によると、2030年までにラグジュアリー旅行が他のセグメントよりも急速に成長する見通しである。

富裕層によるラグジュアリー旅行の市場規模が大きい一方、資産10万ドルから100万ドルの層も急速に拡大している。

若い旅行者や非富裕層も贅沢な旅行に興味を持つ傾向があり、ホスピタリティ業界もアジアの富裕層の増加に対応している。

1泊約8万円以上の「ラグジュアリー旅行」市場を支える意外な人々

マッキンゼーが米国時間5月29日に発表した新たな報告書によると、「ラグジュアリー旅行」に対する需要は2030年までの間に他のどのセグメントよりも急速に成長する見通しだという。5000人以上の旅行者を対象とした同社のレポートは、旅行に大金を費やす人々のプロフィールがどのように変化しているかを解き明かすものだ。

マッキンゼーは1泊500ドル(7万8000円)以上を宿泊費に費やす旅をラグジュアリー旅行と定義しているが、市場規模が2390億ドル(約37兆6000億円)のこの市場の約3分の2は富裕層によって支えられている。その内訳は、マッキンゼーが「超富裕層」と定義する資産3000万ドル(約47億円)以上の人々が15%で、資産が500万ドル(約7億8000万円)から3000万ドルの「準超富裕層」が16%、100万ドル(約1億5000万円)から500万ドルの「富裕層」が33%だ。

しかし、このレポートでは、資産が10万ドル(約1570万円)から100万ドルまでの「ラグジュアリー志向の旅行者」の層も拡大しつつあることが強調されている。昨年のラグジュアリー旅行市場の支出の35%は、この層の旅行者によるもので、支出額の合計は840億ドル(約13兆円)と、他のどのグループの支出よりも多かったという。

「これらの『富裕層ではない人々』を理解することは、2つの理由から非常に重要だ」と、マッキンゼーのレポートの執筆者は述べている。「まず、この層は比較的大きいという点だ。もう一つは、この層は、特定のラグジュアリー分野に参入することで新たな顧客をつかみたいブランドにとって、ビジネスチャンスになりうるという点だ」

旅行への支出は40歳から50歳の年齢層が最も多いが、この調査によると、若い旅行者の贅沢な旅への意欲も高まっている。マッキンゼーは、ラグジュアリー志向の旅行者が通常40歳未満で、飛び抜けた資産を持たず、家を所有していないことも多いが、資産の中の多くの部分を旅に費やすことを厭わないと述べている。

調査によると、非富裕層のラグジュアリー旅行者の5人中4人以上が「新しい場所を訪れてみたい」と回答しており、10人中6人近くが「文化や歴史に触れる旅に興味がある」と答えていた。

一方、マッキンゼーのこの報告書は、ホスピタリティ業界がアジアの富裕層の増加に刺激され、ホテル建設ブームに湧いていることにも触れている。昨年は、世界の高級ホテルの建設プロジェクトの40%以上がアジアにあり、そのうち43%が中国だったという。

マッキンゼーは、2030年までの間に最も多く旅行に支出する層が、100万ドル(約1億5000万円)から500万ドル(約7億8000万円)の資産を持つ富裕層になり、その支出額は年間1540億ドル(約242億円)に達すると述べている。その次に支出額が多いのは、資産が100万ドル未満のラグジュアリー志向の旅行者で、彼らの支出額の合計は年間1070億ドル(約16兆8000億円)に達すると予測している。