「敵は炭素」トヨタ連合3社がEV一辺倒に待った!一方ホンダはトヨタ超えEV投資…日産はどう出る?

AI要約

トヨタ・SUBARU・マツダ連合が電動化時代の新エンジン開発を発表。カーボンニュートラルへの取り組みが強調される。

トヨタはPHEV向けの新型エンジンを披露、SUBARUは水平対向エンジンを活かしたHEV向けハイブリッド機構を組み合わせ、マツダはロータリーエンジンを電動化してCN燃料を活用する。

トヨタ連合はエンジン単体の性能向上だけではなく、電動ユニットとの最適な連携を目指す次世代エンジンの役割を明確化している。

「敵は炭素」トヨタ連合3社がEV一辺倒に待った!一方ホンダはトヨタ超えEV投資…日産はどう出る?

● トヨタ・SUBARU・マツダ連合が 電動化時代の新エンジン発表

 5月28日、トヨタ自動車、SUBARU、マツダの「トヨタ連合」3社のトップが勢ぞろいし、「マルチパスウェイワークショップ」と題した説明会を開催した。「エンジン、新たな挑戦」を標榜(ひょうぼう)して、電動化に適合する新時代エンジンを3社それぞれが披露した。

 足元では、カーボンニュートラルに向けたEV(電気自動車)転換の動きに異変が起きている。欧米市場を中心にその成長率が鈍化し、最大市場の中国では、政治的なBEV(バッテリーEV)政策も絡んで、EVの価格競争や供給過剰などの問題が浮上。世界の主要自動車メーカーが電動化戦略を見直す動きを見せている。

 そうした中、今回トヨタ連合の3社は「脱エンジン」の風潮を覆し、あえて3社の個性を生かすための新時代エンジン開発の発表説明会を開いた。「カーボンニュートラルへの多様な選択肢として、BEV開発も本気だが、電動化時代の内燃機関の開発にも本気で取り組む」と、佐藤恒治トヨタ社長・CEOは断言する。

 そこには、豊田章男トヨタ会長が、今年2024年の幕開けに開催された東京オートサロンでも宣言した「敵は炭素だ」という発言が背景にある。EV一辺倒ではなく、エンジンとそれを支えるサプライチェーンや雇用の未来を見据えた取り組みが重要であることを「トヨタ連合」として強調したのが、今回の発表会といえるだろう。

 今回発表会に臨んだ3社は、いずれも昨年23年に社長が交代しており、新社長として2年目を迎えている。佐藤恒治トヨタ社長、大崎篤SUBARU社長・CEO、毛籠勝弘マツダ社長・CEOがプレゼンに立ち、その後3社それぞれの技術担当トップの中嶋裕樹トヨタ副社長・CTO、藤貫哲郎SUBARU専務・CTO、廣瀬一郎マツダ専務・CTOが、個々の新時代エンジンを説明した。3社の社長と技術担当トップが勢ぞろいして発表説明会を開くのは極めて珍しいケースだ。会場の展示ワークショップでは、3社が競うように技術トップによる熱弁が繰り広げられた。

 具体的には、トヨタがマルチパスウェイ(全方位戦略)の一環で、新開発の直列4気筒の2つの小型エンジンを披露した。これは次世代のPHEV(プラグインハイブリッド車)向けを意識したもので、トヨタが得意とするHEV(ハイブリッド車)を進化させ、当面の電動化への主力となりうるPHEVに対応していく考えだ。

 SUBARUは、固有の水平対向エンジンを生かして、新たにHEV向けハイブリッド機構を組み合わせる。また、マツダは独自のロータリーエンジン(RE)を電動化で生かし、「雑食性」(多様な燃料に対応できること)の特性を持つREでカーボンニュートラル燃料(CN燃料)を活用するなど、電動化時代のREを前面に打ち出していくことになる。

 このトヨタ連合3社は、モータースポーツレースでも液体水素エンジン車やCN燃料を搭載した車両で参戦するなど、パワートレインや燃料の選択肢を広げる活動を進めてきた。その中で、カーボンニュートラル実現に向けた新時代のエンジンの役割が明確になってきたとする。すなわち、次世代エンジンは、エンジン単体の性能向上だけではなく、電動ユニットと組み合わせることを前提に、エンジンと電動ユニットがそれぞれの得意領域で最適に機能することを目指すというものだ。