KKR、日本でプライベートクレジット参入検討-日本法人の平野社長

AI要約

米系投資ファンドのKKRが日本でプライベートクレジット業務への参入を検討していることが明らかになった。

プライベートクレジット市場の規模や日本における銀行中心の貸し出しビジネスの現状に触れられた。

KKRのアジアでの投資戦略や日本市場における投資機会に関する展望が述べられた。

(ブルームバーグ): 米系投資ファンドのKKRは、日本でプライベートクレジット(企業向け融資)業務への参入を検討している。日本法人の平野博文社長が明らかにした。グローバルファンドによる参入は、銀行中心の国内貸し出しビジネスに風穴を開ける可能性もある。

平野氏はブルームバーグとのインタビューで、「中長期的な取り組みになるが、われわれ自身でやることが日本で非常に重要だと思う。ぜひ実現させたい」と語った。企業がリスクを取って変革を進めるためには、多様な貸し手が必要との認識を示した。

世界のプライベートクレジット市場は1兆7000億ドル(約267兆円)規模。米国や欧州ではPD(プライベートデット)ファンドが、信用リスクが高い中堅・中小企業向け融資や企業買収融資で存在感を増しているが、日本ではまだ広がっていない。KKRが参入すれば、融資の出し手の拡大につながる。

平野氏は、買収資金向け融資などの引き受け手が大手銀行に偏っているほか、中堅・中小企業向け融資でも銀行はリスクを取り切れていないと指摘。KKR傘下の米国の保険会社、グローバル・アトランティック・ファイナンシャルが日本の生命保険会社から保険契約の買い取りを進めており、円によるプライベートクレジット投資を運用手段にする可能性もあるとした。

アジア全体の4割を日本に投資

平野氏はKKRの投資戦略に関連し、現在アジアの運用資産の約4割が日本の資産で、今後も同程度が日本に振り向けられる可能性があると述べた。「もっと伸びる可能性がありながら、十分なパフォーマンスを出し切れていない企業などが圧倒的に多い」とし、各業界の再編の遅れに伴うM&A(企業の買収・合併)余地や非上場化の流れから投資機会が増えるとみる。

企業投資では特に大企業の子会社や事業売却(カーブアウト)案件を注視。強固な事業基盤や質の高い従業員を抱えながら、非中核(ノンコア)の位置付けのため成長できない部門は多く、「そこに光を当て経営陣や従業員を主役にすることで会社は大きく成長し、光り輝く」と投資先を模索する。