プライベート融資、利息繰り延べに新手法-シンセティックPIK

AI要約

ローンの利息の支払いが満期まで繰り延べられ元本に加算されていく「ペイメント・イン・カインド(PIK)」の仕組みが進化し、新たな工夫が加わっている。

ダイレクトレンダーが最近提案している「シンセティックPIK」は、利息を現金で支払える仕組みを含む取引で、プライベートレンダーにとって柔軟性を提供する。

シンセティックPIKは企業がバランスシートを安定させつつ利息要件を満たすのに役立ち、特にハイテク企業や経常的な収益を得ている企業に有益だ。

(ブルームバーグ): ローンの利息の支払いが満期まで繰り延べられ元本に加算されていく「ペイメント・イン・カインド(PIK)」の仕組みは、プライベートレンダーによってよく利用されるが、そこに新たな工夫が加わった。

事情に詳しい関係者によると、ブルー・アウル・キャピタルを含むダイレクトレンダー(直接金融業者)はここ数週間、「シンセティックPIK」を含む取引を借り手に提案している。PIKの枠組み内で利息を現金で支払える仕組みだという。

PIKは利息の一部または全部の支払いを満期まで繰り延べることを可能にする。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによって多額の負債を抱える企業は利払いが難しくなっているため、このような柔軟性が強く求められている。プライベートレンダーは企業への融資で銀行と競争する際にしばしばPIKを利用してきた。

しかし限界もある。プライベートクレジットファンドは融資可能な現金を増やすために銀行から借り入れを行うことが多いが、銀行は、ポートフォリオに占めるPIKの割合に上限を設けることで、担保に質の低い債権が多く含まれるのを防ごうとする。

シンセティックPIKでは利息が現金で支払われるため、このPIK割合に算入されない。

シンセティックPIKのコンセプトはまったく新しいものではない。特に、不採算のハイテク企業や、契約のようなものから経常的な収益を得ている企業で、シンセティックPIKはバランスシートが安定するまでの間、利息要件を満たすのに役立つ。

ダイレクトレンダーはここ数週間、より成熟し収益が黒字化している借り手にも、シンセティックPIKを売り込んでいると事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べた。各取引の具体的な内容はさまざまであり、市場ウォッチャーは交渉を見守っている。

ブルー・アウルの担当者はコメントを控えた。

シンセティックPIKの仕組み

シンセティックPIKでは、貸し手は借り手企業に2つの別個のローンを提供する。企業が最初に借り入れを計画した主となるローンと、資本構成において同じレベルに位置し、同様の条件を持つ、より少額の遅延引き出しタームローン(DDTL)だ。DDTLでは、借り手は契約時にそのローンの全額にアクセスできるようになるが、実際の借り入れは後日に行うことを選択できる。