米個人消費、驚異的な粘り強さにも疲れの兆し-主要エンジン一斉失速

AI要約

米国の個人消費が減退している要因やその影響について解説。

労働市場の冷え込みや所得の伸びの制限、消費者の価格感応度の高まりが消費支出に影響している。

消費者が生活必需品への支出を優先させ、高所得者も値引き品を求める傾向が強い。

(ブルームバーグ): 驚異的な粘り強さを見せてきた米個人消費。これを支えてきた複数の要因が、一斉に勢いを失いつつある。最近の家計需要の減退が単なる一過性のものではない可能性を示唆している。

実質可処分所得は過去1年間で小幅な増加にとどまっており、貯蓄率は16カ月ぶりの低水準にある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に積み上がった資金を、家計がほぼ使い果たしたことが背景にあるとみられる。その結果、多くの消費者がクレジットカードやその他の資金調達手段に頼るようになっている。

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インフレ調整後の実質個人消費支出(PCE)が4月に減少したのは、これらの要因で説明できそうだ。雇用市場も冷え込みつつある中、ベスト・バイのような小売企業ではここ数カ月、顧客がより安価なブランドに切り替える動きが見られるという。

EYのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「労働市場の勢い鈍化が所得の伸びを引き続き制限し、貯蓄減少と債務負担増加に直面する中で支出を抑制する世帯も増えるだろう」と5月31日のリポートで指摘。「価格への感応度が高まっている点も踏まえると、家計支出の勢いは徐々に弱まるとみられる」と記した。

実質PCEの落ち込みと1-3月(第1四半期)実質国内総生産(GDP)の下方修正は、2023年に驚くほどの力強さを見せた米経済が失速しつつあることを説得力をもって示すものだ。

最近発表された企業決算からは、消費者が裁量支出よりも生活必需品への支出を優先させている姿が浮かび上がる。高所得者層も値引き品を求めるなど価格に敏感になっており、これがウォルマートの売上高増加につながった。

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雇用統計

米国の労働市場の方向性は、7日に発表される5月雇用統計でより明確になる。データ重視の姿勢を強調する米金融政策当局者らは、雇用統計の詳細に注目するとみられる。