世界の知恵を結集し、答え導きだす マーク・カウパース駐大阪オランダ総領事 万博未来考 第2部 番外編

AI要約

万博の歴史と重要性について語られる。

世界的な課題に対処するための協力の必要性が強調される。

オランダと日本の協力関係や環境問題についての考察が述べられる。

世界の知恵を結集し、答え導きだす マーク・カウパース駐大阪オランダ総領事 万博未来考 第2部 番外編

「万博未来考」第2部では、万博の歴史を振り返りながら、万博を通して国家が追い求めてきた大義を探った。このテーマに知見を持つ4人に改めて聞いた。

私たちは今、食料不足や気候変動、感染症の拡大など、極めて多くの世界的な課題に直面している。少子高齢化や、それに伴う高齢者介護の負担増といった社会問題も深刻化している。それらの多くは1国だけの努力や知恵で解決できない。

だからこそ、世界的な課題解決の糸口を探す場として万博は重要だと思う。2025年大阪・関西万博のオランダのパビリオンには多くのオランダの科学者らが招かれ、講演を行い、日本、第三国の科学者らと活発な議論を行うだろう。再生可能エネルギーの利用拡大や人々の生活水準の向上など、議題は尽きない。

オランダと日本の間では、これらの問題をめぐる協力がすでに行われている。万博を使い、その結びつきを発展させ、閉幕後も続く強固な協力関係を築きたい。

オランダが環境問題など世界的な課題に対して特に真剣に取り組む背景には自国の深刻な現状がある。国土の多くが、海面よりも低い場所にあるという現実だ。地球温暖化などで問題は深刻さを増し続けている。オランダは欧州の多くの河川が海へ流れ込む場所にある。降雨量が増えるほど河川の幅も拡大する。

河川の周りにコンクリートの壁を作るだけでは解決は困難だ。私たちは水と戦うという考え方から、水とともに生きる方向に少しずつシフトした。住宅を河川から引き離すなど、国土開発全体を見直したのだ。この結論に至るには多くの知恵が必要だった。

また、問題解決を進めるうえで(関わる人ら同士の)違いを脇に置く必要がある。私たちがパビリオンのテーマとして掲げる「コモングラウンド(共創の礎)」が極めて重要なのだ。だからこそ万博は大きな意味がある。約160カ国・地域が1カ所に集まり、半年にわたって意見を交わせる唯一無二の機会だ。

私はかつて、インターネットが発展する現代において万博を開く意味があるのか懐疑的だった。しかし(21~22年開催の)ドバイ万博を見て認識が変わった。今のような時代だからこそ、リアルに顔を合わせて話し合い、答えを導きだす意義は大きいのだ。