EU、エネルギー憲章条約から脱退 地球温暖化対策と整合性とれず

AI要約

EUはエネルギー憲章条約から離脱を決定。パリ協定との整合性が理由で最終承認。

条約は旧ソ連圏の資源再開発を目的とし、50カ国が締結。EU加盟国が個別に離脱を表明。

離脱後は改正案に巻き込まれる可能性も。気候変動への配慮が課題となっている。

EU、エネルギー憲章条約から脱退 地球温暖化対策と整合性とれず

 欧州連合(EU)は30日、エネルギー分野の貿易や投資の国際枠組み「エネルギー憲章条約」から正式に離脱すると発表した。地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」や、EUのエネルギー政策との整合性が取れないと判断した。この日開かれた閣僚理事会で最終承認された。

 1998年に発効したエネルギー憲章条約は、生産が停滞していた旧ソ連圏の石油や天然ガスを西側諸国の資本で再開発し、中東への依存を減らすことを目指した条約。EUのほか日本や米国など約50カ国が条約を締結している。

 条約が化石燃料への投資を促し、気候変動への取り組みを阻害するとして、EU加盟国のデンマークやフランス、ドイツなど7カ国が個別に離脱を表明。昨年、EUの行政機関である欧州委員会がEUとしての離脱を提案し、欧州議会が4月に承認していた。

 離脱後も残留を希望する加盟国は、条約締結国でつくる「エネルギー憲章会議」(事務局ブリュッセル)で、条約改正案の採択に参加することができる。ただ、改正案には加盟国から気候変動への配慮が不十分との声も上がっている。(ブリュッセル=牛尾梓)